王には微笑んでもらいたい…。中王国時代、センウセレト3世の悲しい顔が気になって

センウセレト3世(Senusret III)は、古代エジプト中王国時代、第12王朝の王様。
名前の意味は「女神ウセレトの人」なのだが、ウセレトという女神についての情報が何もない。たぶん出身地あたりのマイナーな女神だと思う。
この王様、マネトーによれば2mを越える長身で偉丈夫だったというが、ミイラが残っていないので実際の外見は判らない。ただし、像からは何やら苦労人だったような雰囲気が伺える。

何しろこんな感じなので…。ElasE_XVcAEgrdH.jpg

…ねえ王、何でこんな悲しげな顔してるのかな??

像ひとつだけ悲しげだったらまぁ何かたまたまかなーって思えるのだけれど、他の像も何やらとても思い沈んでいるような眉間に皺をよせてる系なのだ。もうこの顔で完全にイメージ出来ちゃってるので、この王様いつも胃が痛い雰囲気だったとしか思えなくなっちゃってる。エジプトの像っていつもアルカイック・スマイルなイメージあるけど、中にはこんな顔の時代もあるんですよ。あと、見た目をリアルに描くのはアマルナ時代の特権でもないです。他の時代もわりと、これがリアルな顔だったんだろうなぁっていう雰囲気の像はあるので。
刻んだ像を理想的に美化するか、リアル嗜好に寄せるかと、たぶんその像を刻ませる王の趣味。

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なお、この王様の時代には、エジプトの歴史の中でも数回しか記録されていない、ヘリアカル・ライジングが起こっている。これは、暦どおりにシリウス星が出現したという記録のこと。古代エジプトの公的な暦には閏日がないため毎年少しずつズレていく状態だったのだが、この王様の時代にズレが一周してぴったり一致した。

というわけなので、古代エジプトの暦がいつから使われ始めたのか、については、ここから逆算した年月で求められている。また、この王様の時代を基準に、前後の王たちの年表も引かれている。ある意味で古代エジプト史の基準点なので何度も戻ってくることになるのだが、そのちびに、この悲しげな顔をした王がそこに佇んでいる。何で…そんな顔なの…王、笑おう…? 誰か苦労話を聞いてあげてほしい、そんな気にさせるお方なのであった。