新しく見つかったナスカの地上絵のネコがヘタ過ぎると話題に…ヘタ言うな、ヘタウマ目指してた時代なんやぞ!!

えー問題の地上絵はこちら。見た目ゆるっゆるで、観光地にもなっているナスカの地上絵の完成度とだいぶ違うので「イタズラ描きだろ」という感想も見かけましたが、その感想を抱く時点でここの最近の新しい発見を全然見てない、特にこのテの話題に興味ない人だな…って分かります…。

南米ナスカの地上絵に巨大ネコ 2000年前に作成か
https://www.bbc.com/japanese/54594970

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★ここがポイント!★

・報道で「ナスカの地上絵」とされるものには、ナスカに近い地域のものが全部ひっくるめられています
・ナスカ時代だけではなく、ナスカの前のパラカス文化のものも含まれます
・なんかヘタっぽい感じのゆるいやつは大抵、ナスカに隣接する地域のちょっとの時代のものです

今回のも、ナスカの前段階になるパラカス文化のものですね…。
ちなみにそのへんについて解説したのが、2018年に新たに見つかった地上絵のニュースに対するこちら。

ナスカの近くで、ナスカじゃない地上絵が発見される…これは何と呼べばいいの?
https://55096962.at.webry.info/201804/article_21.html

年表。
ナスカの前段となるパラカスの時点で既に地上絵は作られており、その時代にはまだ小規模かつそれほど精緻でもなかった、ということが判ってきているのが最近の研究。


画像

*年表 天野博物館のカタログより




どうして今まで見つからなったのかというと、ナスカのあたりは雨が全然ふらない砂漠で、人が住んでるところが限られているからだ。
ナスカ以前の地上絵は小規模だし、まだそれなりに雨が降っていた時期にもかぶるため、風化が激しい。しかも町から30kmも離れたところに埋もれてたりするので、なかなか気が付かない。

衛星画像の技術が発達し、上空からナスカ近辺にも地上絵らしいものがあることが判明しはじめたのがここ10年くらいの話で、さらにドローンやUAVなどが一般的になって探しやすくなったことから、近年になって発見が相次いでいるのである。

日本の山形大も沢山発見しているので、それについてはプレスリリースを参照してほしい。
修復前の写真もあるので、「なるほど、これはわからんな」となると思う。(今回のニュースになってるものは修復後の姿。)
https://www.yamagata-u.ac.jp/jp/information/press/20191115/

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*カサカサしそうでお気に入りのやつ。


で、この手の地上絵の年代を特定する方法としては、たとえば光刺激ルミネッセンス(OSL)という技術がある。
これは岩などに最後に太陽光が当たったのがいつかを測定する方法で、地上絵を描くために人間がひっくり返した岩の裏側を調べることで年代を特定する。

実際にこの技術を使って年代を割り出している「謎の地上絵」には、たとえばカザフスタンで近年見つかったものがある。
ちなみにこれも衛星画像から発見している。

カザフスタンに謎の地上絵、NASAが撮影
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/15/110500312/


このあたりの調査方法を使って調査されていれば、贋作かどうかの判別はつく。というかそもそも、沙漠の中でいいカンジに風化した地上絵を作るのはけっこう大変だろうし、いくら見た目がユルいからといって偽物判定されるのは現地の学者さんも心外だろう。というか最近見つかってる古い時代の絵は軒並みユル方向なので…。

そして実は、このユルさこそ真作の可能性を高めるものでもあったりする。
なぜなら、この時代の創作物は全部ユルい見た目だからだ。

同時代のパラカス文化のネコチャンの表現を見てみよう…

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※ジャガーらしい

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※ね…こ…?
https://www.nationalgeographic.com/culture/2018/12/ancient-paracas-pots-reptile-urine-chavin-connections/

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※右端のとか今回の地上絵に近い

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※同時代のもうちょっと北部のモチェはこんなかんじ

このユルッユルな作風で普通に処刑された捕虜の首とか描いたりするからねこの人たち。そういう作風なんですよ? ヘタウマ目指してる系なんです! たまに失敗してほんとにヘタに見えるだけなんです!! …たぶん。


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発見相次ぐナスカ周辺の地域、今後の発見が楽しみね。
ちなみに動物の地上絵以外にもこんなのもありますお。

ペルー南部にある謎の「サークル」状の地上絵について
https://55096962.at.webry.info/201906/article_26.html

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注意!!
この時代の南米大陸に、飼い猫はいません。
飼い猫は紀元前3,000年くらいにエジプト近辺で飼われはじめたのが最初で、南米では飼育化されませんでした。ネコが南米に渡るのはヨーロッパから人が行くようになってからです。なのでこの地上絵も厳密に言うと「現地にいるネコ科動物のどれか」です。