人間の業を知れ。~ご近所に特定外来生物がやってきた

その昔、昆虫標本をつくるのにハマっていた時期があり、チョウについてはけっこう詳しいつもりだったのに見たことないやつがご近所にいて、「ん?」ってなって写真撮ってきた。あとで調べてみたら、なんと近年になって生息範囲を広げつつある、特定外来生物のアカボシゴマダラ(駆除対象)だった。

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…そう、実はこれ、ここにいちゃいけないチョウだったんである。

なぜ駆除しなければならないかというと、これが人為的に持ち込まれたもので、在来種のオオムラサキやゴマダラチョウと競合してしまうからだ。在来のゴマダラチョウとの交雑はそれほど気にしなくていいというが、食べる植物はモロ被りなので、この蝶が増えるほど在来種は減ってしまう可能性がある。そのため、発見次第、駆除することになっている。

調べてみると、持ち込まれたのは1980年代の末から1990年代初頭。
その頃からじわじわと生息範囲を広げて今に至るらしい。

https://www.nies.go.jp/biodiversity/invasive/DB/detail/60400.html

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この蝶は中国原産のもので、ちょうど1980年代ごろからコレクターの間で、生きたまま国内に持ち込んで育成するのが流行っていたという情報がある。つまり「放蝶ゲリラ」というのは比喩でもなんでもない。意図的に持ち込んで人間が放した、という意味なのだ。

そんなものが既存の種を、つまりはご近所に元からいるチョウを追いやってしまう。
そして人間の身勝手で持ち込まれてしまったチョウのほうも、駆除されなければならない。
他の特定外来種同様、このチョウもまた人間によって悲しい宿命を背負わされた存在といえる。…とはいえ、生態系の維持のためには、発見次第、処分しなければならないのだが…。


昆虫コレクターの中には、このように、「キミほんとに虫が好きなん??」と言いたくなるようなことをする人も、たまにいる。
たとえば、ときどき問題になる、発展途上国で絶滅危惧種のチョウを標本にするために買いあさっているコレクターなどだ。所有欲や独占欲のために何かを台無しにしていくコレクターは、私はあまり好きではない。



なお、特定外来生物の一覧は、こちらにリストがある。
植物も含めると、意外なほど沢山あるのだ。
http://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list.html

特定外来生物がなぜ規制され、防除対象とされているのか、という法律と合わせて、いちど確認しておきたい。
https://www.env.go.jp/nature/intro/1law/outline.html

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