スーダンで豪雨によりダムが決壊。その雨は、かつてナイルの恵みになっていたはずのものだった

スーダンの南東、青ナイル州でダムが決壊し、たくさんの家が流されたというニュースが流れていた。

原因はこの季節に降る豪雨。スーダン~エチオピアにかけて青ナイル流域では、6-10月ごろの雨季に大量の雨が降る。このへん、近年では、発電用や乾季の農業用水として川にダムをたくさん作っているが、どうもダム(=ハード)を作るのはなんとか間に合ってても運用(=ソフト)の習熟が間に合ってないっぽく、適切なメンテナンスや放水判断などが行えていない疑いがある。大規模ダムもあるのに大丈夫なのか本当に…とは思いながら眺めている。

スーダンでダム決壊、民家600軒超が損壊 住民は無事避難
https://www.msn.com/ja-jp/news/world/%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%83%80%E3%83%B3%E3%81%A7%E3%83%80%E3%83%A0%E6%B1%BA%E5%A3%8A%E3%80%81%E6%B0%91%E5%AE%B6600%E8%BB%92%E8%B6%85%E3%81%8C%E6%90%8D%E5%A3%8A-%E4%BD%8F%E6%B0%91%E3%81%AF%E7%84%A1%E4%BA%8B%E9%81%BF%E9%9B%A3/ar-BB17sMUk

12.PNG

動画
https://www.youtube.com/watch?v=pofYDd_Od5o


しかし、豪雨自体は毎年のことだ。
実はこの雨による水こそが、下流のエジプトで毎年のように「ナイルの増水」を起こしていたものなのだ…。

スーダンにあるダムについて主要なものは、以下のページが詳しい。
http://www.ess-jpn.co.jp/Column/Sudan/2-1.html

Eedx133U4AA3JmA.png

青ナイルからエジプトへと至る過程の上に、たくさんのダムが築かれていることが分かる。
最近はエチオピアの大規模ダムがニュースでよく取り上げられているが、実はスーダンの真ん中あたりにある「メロウェ・ダム」の時も似たような感じでモメていた。ただしその時はスーダン側が譲歩してそれほど大きな国際問題にはなっていなかったように思う。

これらのダムと、エジプトにおけるナイル最上流アスワン・ハイ・ダムによって、現在は雨季の増水がせき止められているのだ。
しかしダムの無かった古代には、降った雨のぶん川の水かさは増し、約一か月かけて川を下って7月からのエジプトでの「増水期」となっていた。
上流の雨季は9-10月ごろまで続く。エジプトの「増水期」も7-10月だ。そして、その季節が終われば、川の水に洗われた畑で次の季節の農作業が開始されていたのである。



かつてエジプト文明を育てたナイルの増水、その要因であった季節の雨がダムを決壊させているのは、何となく複雑な気分になった。
と同時に、下流のエジプトでは穏やかだった氾濫も、実は雨が降っていた地域では昔からけっこうハードだったのかなあとも思った。ナイル川ってエジプトに入ってからはほぼ傾斜なしだけど、上流のほうは意外と流れが急なんですよね…。

最近は気候変動で雨が極端に降りまくる年があると聞くし、スーダンさんも、エチオピアさんも、ダム管理には気を付けてもらいたいもんです。今回のはそんな大きくないダムだけど、大規模ダムが決壊するとわりと真面目に被害がやばいと思う。