ロッキートビバッタはなぜ滅びたのか。様々な説の果てに見いだされた答えとは

ロッキートビバッタ(Rocky Mountain locust)は、かつて蝗害の中では最悪と呼ばれた北米に棲息したワタリバツタの一種である。群生相になった際の体の大きさは、サバクトビバッタよりはるかに大きく、食べる量も多い。巨大な群れを成して穀物を根絶やしにしたといわれている。

基本データ
https://en.wikipedia.org/wiki/Rocky_Mountain_locust

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出現場所はロッキー山脈周辺の北米西部

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けれど、19世紀にはたびたび大群として出現していたこのバッタは、わずか数十年のうちに姿を消し、20世紀の初頭には絶滅したと考えられている。なぜなのか?

…その答えは、どうやら初期の入植者が繁殖地を開拓してしまったことにあるらしい。

The death of the Super Hopper
https://www.hcn.org/issues/243/13695

まず基本的な知識として、このバッタは基本的に日本のトノサマバッタと同じように開けた場所で卵を産み、じっくり何カ月かかけて成長するタイプのバッタだ。寒さにはまあまあ強いほうだが、場所的に冬は寒いので、当然ながら発生と繁殖は春~夏に限られる。そして繁殖条件に適した場所も限られている。

バッタが大群を成して移住するのは成虫になって羽根が生えてからだ。幼虫の頃は飛べなくて、繁殖地の近くで暮らすしかない。
その繁殖地が開拓されて無くなってしまったらどうなるだろうか。

どうもこのバッタの弱点は、「繁殖条件がシビア」「繁殖地が限られていた」ということにあるようだ。
逆に言えば、条件さえ一致すれば大量発生することが出来た。大量発生+限られた繁殖地での混雑=群生相に移行して蝗害を起こす なので、弱みと強みが表裏一体の生態をしてたのだ。

というわけで、限られた繁殖地でしか繁殖出来なかったために、その繁殖地を失うと一気に生息数が激減した…それが、現在最も受け入れられているシナリオになる。

これは、ある程度納得の出来る結論になっている。日本でも、かつて北海道の平野で発生していたトノサマバッタの蝗害が発生しなくなったのは、平野部が開拓されたからだと推測されているからだ。狭い場所で大量発生しなければ、蝗害は起きない。バッタの大量発生は、まだ開拓されていない、人間の手の入らない場所が必要なのだ。そう考えると、いま様々な種類のバッタの大群に悩まされている南米や、アフリカやアジアの地域には、まだ手付かずの原野が残っているということでもあるのだろう。どっちがいいかっちゅーとまあ…悩ましい…。


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リョコウバトに代表されるように、めちゃくちゃ大量にいる生物でも、ほんのちょっとした生存条件の変化で急激に姿を消すことはある。
これもまた、そんな事例の一つなのだろう。