ビザンツ時代の高級白ワイン、6世紀の黒死病流行で廃れたのでは。という説

現在のイスラエル南方、ネゲブ高地(ほぼ砂漠地帯)で発見されたワイン製造の痕跡から、ワインが作られなくなったのはおそらく6世紀半ばで、イスラム教徒が来るより前だったことが明らかに。以前の、イスラームが入ってきたのが原因では? という説は使えなくなり、原因はもしかしたらその頃に大流行していた黒死病だったのではということが検討されている。

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確認方法は、ネゲブにある3箇所の街のゴミ捨て場の中身だ。ブドウの種やブドウ酒用の容器がたくさん見つかれば、その時代はブドウを大量に栽培していたことになるし、減っていくようであれば、栽培が廃れたことになる。それによると、4-5世紀にはブドウ酒が盛んに作られていたようなのだが、6世紀に入るとかなり急激に減っていくようだ。

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この時期のビザンツ帝国は最盛期。ガザから出荷されていた白ワインは文献でも「ガゼトゥム」(vinum Gazetum)と呼ばれ高品質で評判が良かったようなので、原因は単に帝国が衰退したから、とかではない。ワインの消費先はアレキサンドリアやコンスタンチノープルといった大都市。とすると、消費地である大都市で何か起きていたのでは、というのがこの説の発端になっている。
ちなみにネゲブ高地は元々農業にあまり適さない土地で、ワイン用のブドウづくりのため入植されていた土地だ。
ワインづくりの廃れてゆく時期、農民たちはブドウではなく生きるための小麦を作るようになり、それが一定までいったところで入植地としては放棄されている。


疑われているのは、「ユスティニアヌスの疫病」として知られているペスト(黒死病)の大流行だ。確かに6世紀に始まっており、エジプトもナイル下流地域が大打撃を受けている。

ヨーロッパ人の1/3が死んだ「黒死病」、歴史の教訓
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/042700261/

現在Covid-19の流行によって酒市場ががかなり冷え込んでいるのとも相まって、なるほど確かに消費地の都市民がそれどころじゃなくなってたっていうのはあるかもなぁ…と思う。それこそ、当時はCOVID-19どころじゃない数の人が亡くなってるわけですし。
または、ネゲブ自体にもペストが流行してしまって、集落の維持が出来なくなった可能性もあるかもしれない。

いずれにせよ、これも、病が変えた歴史の一つなのかもしれない。

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おまけ
ちょうど数年前にペスト調べてたんですよね…。

疫病の歴史と死の吐息/エジプトにペスト流行はあったのか
https://55096962.at.webry.info/201604/article_18.html

現時点で最古のペストの証拠を発見、3,800年前
https://55096962.at.webry.info/201806/article_14.html

スウェーデンで最古のペスト菌の痕跡発見、起源地と拡散の既存説に矛盾
https://55096962.at.webry.info/201812/article_10.html

アイスランドで15世紀初頭に流行した謎の伝染病の正体がマジで謎な件
https://55096962.at.webry.info/201701/article_18.html






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