イスラエルで見つかった3,500年前の「小さな粘土板」に秘められた歴史の謎。

イスラエル南部のテル・ジェンメ遺跡で6才の男の子が拾った粘土板は、もしかしたらかつてそこがエジプト統治下だった頃の遺物かもしれない。

3,500-Year-Old Small Clay 'Tablet' Featuring Two Human Figures Found Near Tel Jemmeh
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2020/05/3500-year-old-small-clay-tablet.html

cap2.PNG

場所はガザ地区との境界に近く、古代世界においては長らくエジプトの一部だった場所。確かにここならエジプトの影響を強く受けたものが出るだろう。ただ、同様のものが最近のイスラエルでは発見されていなかったことから、ニュースになったようだ。

cap.PNG

見つかっている粘土板を見ると2.8cm四方で、封泥のような使い方をしてたのかなという感じだ。エジプトの美術や地元カナアン人の芸術様式との比較から、紀元前15~12世紀あたりのものではないかと考えられているという。時代的に新王国時代、第18王朝ということだ。

この粘土板に描かれた情景の類似品に、エジプトで壁画などに多く登場する戦争捕虜のシーンがある。捕虜は、腕を後ろ手に肘のあたりで縛り上げられているのが特徴だ。粘土板に描かれた二人の人物のうちの右側のポーズは、この肘を縛り上げられた捕虜のように見える。

そして左側は、腰布からしてエジプト人のようだが、棍棒を振り上げて捕虜を打ち倒そうとしている。これも壁画などによく出てくるポーズだ。

EZBxXx8UMAI-Tgn.jpg

EZBxYJwVAAEAcDd.jpg

第18王朝(紀元前1300年頃)のアマルナ文書と呼ばれる外交書簡集の中ら、エジプトの支配下にあったこの地方の小国家群の中で紛争が起きていたことが示唆されている。具体的には、争いごとに際してエジプトに軍事援助を求めていたようなのだが、宗教に傾倒していたアクエンアテン王はどうやら返事を出さなかったらしい。
時期が一致するのであれば、この地方で起きていた紛争をエジプトが鎮圧した記念の一部なのかもしれない。


たった一つの小さな小さな粘土板なのだが、もしかしたらその裏には、まだ朧げにしか明かされていない、はるか昔の歴史が隠れているのかも。