ミタンという牛っぽい家畜の謎。(牛ではない)

アンデスと同じく高地であるヒマラヤでは、高地特有の家畜が飼われている。
以前チベットに行った時に見かけた(そして美味しくいただいた)ヤクと言われる牛の仲間もその一つだが、どうやらもう一種類、ミタンというのがいるらしい。日本ではあまり聞かない名前だ。

面白いことに、調べてみるとどうもこの動物、どうやって家畜化されたのかよく判らなかったり、見た目はウシなのにウシとは染色体の数が違っていたり、ウシが草を食べるのに対し木の葉を好んだりと、実に興味深い生態だった。飼われている範囲は狭く、インド東部からミャンマーにかけての高地に限られている。

写真については、研究している人が出しているこれとか。
森の中にいる写真だ。ウシといえば牧草地にいるものというイメージがあるはずで、なるほど見た目はウシだが住処が違うのだな、と判る。
https://www.pri.kyoto-u.ac.jp/sections/chemr/kawamoto/topic9.html

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概要については、このあたりが詳しい。
https://www.kyoto-bhutan.org/pdf/Himalayan/013/Himalayan-13-267.pdf
飼育されている場所、牛との交雑のやり方、地域による呼び名の違いなどが記されている。

ミタンの飼育化の起源が分からないのは、DNAを調べても候補が何通りか出てくるからだという。ウシの染色体は60本、ミタンが58本、ガウールが56本(一部の亜種は58本)。ガウールというのは、ヨーロッパでいうところのオーロックスのような、インドに生息する野牛の一種だ。ガウールから家畜化された可能性が考えられるが、染色体数が異なるため、今はもういないガウールの近縁種を家畜化したのではないかとか、ガウールと牛を掛け合わせて作られた種なのではとか、何通りか説が唱えられている。しかしいずれにせよ、牛とも、ヤクやガウールとも種族として違うのは間違いない。

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高地には高地特有の家畜体系がある。高地でしか飼えない、つまり人類が高地に進出するにあたり家畜化した高地で飼うための動物の一種類が、このミタンだ。アンデスではリャマやアルパカ(ラクダ科)。チベットを含むヒマラヤ東部ではヤクとミタン(ウシ科)。その地域でしか飼われていないマイナーな、環境に最適化された家畜であると言えそうだ。

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家畜化されている動物の起源はだいたい調べ終わってるものかと思っていたのだが、まだまだ謎は多いんだなぁと思った次第。