中世ドイツ伝承+関連伝承詰め合わせ「図説 ゲルマン英雄伝説」

似たようなタイトルの本は何冊も出ているが、これは八坂書房から出ている本の話。
表紙にドイツ語書いてあるのと、ぱらっとめくった目次が妙に濃いので手に取った。概要書と見せかけてやたら詳しいのは実は著者がその世界で著名な人だからである。まあ、うん、そのへんの概要書は「内容をつぎはぎにして薄めただけ」なのだが、ガチな人が書く概要書は「全部書くと長いから濃縮して要約したぜ」なんである。

図説 ゲルマン英雄伝説 - アンドレアス ホイスラー, マックス コッホ, 吉田 孝夫
図説 ゲルマン英雄伝説 - アンドレアス ホイスラー, マックス コッホ, 吉田 孝夫

この本には、ドイツの英雄叙事詩に関わる伝説が北欧神話など近隣の関連する伝説も合わせて詰め込まれている。最近の邦訳本ではあまり出てこないオッファ(ウフォ)やオルトニット(オルトニト)、ヴォルフディートリッヒといったマイナーな英雄<ヘルデン>たちが紹介されている。
ただし原著が出たのは古く、なんと百年以上前。それでも古さを感じさせないのは、北欧神話や中世ドイツ文学の原典は一切変わらないからこそだ。逆に言えば、このジャンルの研究は先人たちの研究を越えたり付け足したりすることが非常に難しい隙間産業になってしまうということ。日本でもサガ研究や北欧神話がちょっとしたブームだった時代に一通り邦訳が出尽くしてしまった感はある。

1世紀ほど前の本ということで、著者の前書きはいささか時代がかっている。「我らが先祖たる古ドイツ人は~」とか「ゲルマン諸民族は~」といった語り口の意味するところは、当時のドイツが民族主義を強め、祖先の偉業をたたえようという風潮にあったことを意味している。それがのちに民族主義の台頭に繋がっていく下地になることは、邦訳あとがきにも少し触れられているとおりだ。また日本で古くからドイツ文学が研究されていたのも、かつての世界大戦でドイツが同盟国だった関連もある。本の中に出てくる英雄たちの物語を純粋に楽しむのは勿論だが、行間にと時々垣間見える時代背景に気づければなお面白いと思う。

1世紀ほど前の本ということで、著者の前書きはいささか時代がかっている。「我らが先祖たる古ドイツ人は~」とか「ゲルマン諸民族は~」といった語り口の意味するところは、当時のドイツが民族主義を強め、祖先の偉業をたたえようという風潮にあったことを意味している。それがのちに民族主義の台頭に繋がっていく下地になることは、邦訳あとがきにも少し触れられているとおりだ。また日本で古くからドイツ文学が研究されていたのも、かつての世界大戦でドイツが同盟国だった関連もある。本の中に出てくる英雄たちの物語を純粋に楽しむのは勿論だが、行間にと時々垣間見える時代背景に気づければなお面白いと思う。


本の中ではかなりはしょられているけれど、実際はほぼ同じ筋書きで写本ごとに少しずつ展開が異なるとか、話のバリエーションによって登場人物名が変わっていたり、登場人物がさしかわっていたりすることが多々ある。そんな中で「どの物語の形が古い形に近いのか」とか、「このエピソードには何の史実が元ネタになっているのか」とか、「人気のあった英雄はどういう役割のキャラなのか」とかを一通り知ることが出来る。


ちなみに私の推しは(以下略

だいぶ前に書いたものだけどとりあえずこのへんとか…

ハゲネは、なぜジーフリトを殺したか
http://www.moonover.jp/2goukan/niberunku/hagene/index.htm

それと、今から手に入るか分からないけど北欧神話・ドイツ伝承関連の資料はこのへんにリストアップしておいたので、探したい物語の原典とかがあったら参考にしてね!!

http://www.moonover.jp/2goukan/material/index.htm

いやー今年のGWはいっぱい本が読めますよね? 一人あたり10万円ぶんの軍資金もありますしねぇ~