聖書博物館の所蔵する死海文書は全て偽物。2年を経て全ての鑑定結果が公表される

「博物館の死海文書が全て偽物!」という、ぱっと見センセーショナルな記事が流れていてけっこう食いついている人がいたので、遅ればせながらちょっと解説しておく。

まず、この博物館は「大富豪が自分のコレクションを公開するために作った博物館である」というところに注意してもらいたい。
しかも作った人は「キリスト教福音派」。メトロポリタンなどの博物館とは性質の違うものであり、どちらかというと宗教施設っぽい場所だと理解したほうがいいだろう。
そして博物館に収蔵された品は個人コレクターの自慢のコレクションである。

お金持ちのコレクターでも目利きが出来る人ならそうそう偽物は掴まされないだろうが、「どーしても死海文書が欲しい! 金ならいくらでもです! でも本物かニセモノかはよく分からん!」みたいな人だと、いいカモにされる可能性はある。

つまり今回は、そういうお話なのである…。



実はこの博物館、2018年に既に5つの断片が「偽物」の判定を受けていた。
この時点では16点のうち5点だったが、今回は、残りも全部「偽物」となったというだけの話なので、ある意味、聖書研究者などからすれば想定の範囲内である。

<2018年>
アメリカの聖書博物館に展示されていた死海文書の一部、偽物の可能性が高いと判明
https://55096962.at.webry.info/201810/article_22.html

<2020年>
死海文書、米博物館の断片は「すべて偽造」
https://www.bbc.com/japanese/51922642

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2017年に開館して速攻でツッコミが入り、数年後には目玉展示物がまとめて偽物と判定されてしまうあたり、博物館設立者の目利きがイマイチだったのか、協力者の筋が良くなかったのか、なんにせよ、ムダ金を使いましたねお疲れ様でした…。としか。

なお、前回の記事にも書いたとおり、偽物と疑われる死海文書の断片はまだ、世界各地に数多く出回っている。
聖書コレクターは日本にはあまり多くないだろうが、偽造された遺物が過激派組織などの資金源になってる可能性もあるので、手にされる時はくれぐれもご注意を。(本物だとしても非合法な盗掘によるものだった場合は、後日返還を求められることもある。)


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参考

メトロポリタン美術館、詐欺に遭う。
https://55096962.at.webry.info/201902/article_23.html

天下のメトロポリタン様でさえこうですからね。