古代エジプト人が遊んだセネト・ゲーム、通常とは違うVerについての考察記事

セネトは、エジプト将棋とか古代エジプトのチェスとか表現されることもある古代の盤ゲーム。もちろん現代の将棋やチェスとは全然関係ないしルールも違う。
古代エジプト語で「過ぎ去る」という意味を持ち、古代エジプトでは2,500年に渡って王族・貴族にも一般人にも遊ばれ続けたロングヒットなゲームである。さすがにそれだけ長い時代を遊ばれ続けていれば、当然ながら時代ごとにルールや盤のデザインも変わる。今回は、その中でも知られているVerと異なるデザインのものについてどう解釈するか、という話だ。

Is this the original board game of death?
https://www.sciencemag.org/news/2020/02/original-board-game-death


こちらが、セネト・ゲームで遊んでいるネフェルリ王妃の姿。
新王国時代のメジャーな盤を使っている。

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で、こちらが今回の記事になっている、最古級のものではないかとされる盤。ややシンプル。実はこの盤は19世紀に古遺物市場で購入されたもので、出土地や時代の情報が何もない。

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セネト・ゲームが発明された当初は、おそらく、ただのすごろくのような遊びだった。しかし紀元前2,300年頃には宗教的な意味合いも持つようになり、新王国時代の紀元前1,300年頃にはボードのデザインが大きく変更されて、死後の魂の復活や来世の永遠を意味する、より宗教的なものへと変化していった。そして、駒で表される死者の魂が難関を突破しながら死後の世界を潜り抜けるゲームへと変化していた。
この盤ゲームは、おそらく宗教的な意味合いを持ったことで爆発的に広まったのだが、逆にそのそことが仇となり、古代エジプト宗教がキリスト教など他宗教にとってかわられる時には一緒に廃れてしまった。


そんな中、今回話題となっているThe Rosicrucian senet boardは、セネト・ゲームの盤では、通常は「終了」となっている部分が「開始」になっていたり、盤上に障害物を示す水のマークが入っていたり、昇給的でも俗世的でもない中間のシンボルが多数使われていたりと、娯楽から宗教的な意味合いをもつ遊びへと変化していく過渡期にあたるものではないかと推測されている。

推測が正しければ、この盤ゲームは紀元前1,500年くらいのものになるという。…もっともこれは、同時代の盤ゲームの実物が他に見つからないことには、正しいのかどうか証明出来ないのだが。



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なお、セネトゲームは市販品しても売られているが、それらは「セネト風」の現代ゲームと考えたほうがいい。何しろルールブックなどは残っていないので、壁画と、残っているゲーム盤の実物から何となくルールを推定しているに過ぎないのだ…。
また、ゲームのルールや盤のデザインが時代ごとに変わるので、どの時代に準拠するかでも変わってしまう。たぶん現代セネトは新王国時代のテーーベものを元にデザインされていると思うので、違う時代/地域に渡航されるタイムトラベラーの皆さまにおかれましては、最初にローカルルールを確認してからプレイすることをお勧めします。