上エジプト・アシュムネイン(古代のヘルモポリス)で集団墓地が見つかる。

現代の地名で言われても困る、古代名に直してから言ってください(違
トト神の高位神官の棺が出たというので調べてみたら、トト神の本拠地アシュムネイン(古代のヘルモポリス)だった。「第15州ノモスの首都」って書いてくれるエジプトメディア優しい。
トト神の高位神官と高官たちの集団墓地が発見され、16の墓と20の棺がまとめて出土したというニュースで、それぞれの棺の時代などについては詳しい内容がまだ出ていなかった。

今回の記事は、日本語記事(というか元のAFPの記事)と、エジプトメディアの英語記事で全然内容も切り取る場所も違ってて、日本語メディアの内容じゃ全然わからんわというやつでした…。


日本語記事

エジプト、天空の神ホルスにささげられた石棺など公開
https://news.goo.ne.jp/article/afpbb/world/afpbb-3266019.html

英語記事

In photos: Communal tombs for high priests uncovered Upper Egypt
http://english.ahram.org.eg/NewsContent/9/40/362609/Heritage/Ancient-Egypt/In-photos-Communal-tombs-for-high-priests-uncovere.aspx


日本語記事のほうだと、なぜかサルコファガスの説明とかしていて、肝心の部分は「同省によると、墓はトート神に仕えた高位聖職者と高官のもので、今から約3000年前の古代エジプト王朝末期につくられたという。」としか書いてない。一般的に使われる用語の説明なんて要らんだろ…発見された場所と遺物の時代は最低限書くんだよ…。

英語記事を読むと最初の3行で「あっ、アシュムネインでトト神の神官か。トト神殿あったとこだし順当」って一発で分かるんですよ。
この記事のレベル差よ・・・(´・ω・`)

ヘルモポリスについては以前まとめておいたデータを参照。
http://www.moonover.jp/bekkan/bigin/map_hermopolis.htm

ちなみに古代エジプトの都市は、各都市ごとにメインで担当する守護神がいる。国家神とされる太陽神ラーやアメン神も、それぞれヘリオポリス(現在のカイロ奥地)、テーベ(現在のルクソール)を担当しており、担当する都市が首都に設定されたので国家神として上がられるようになった、という、ある意味で規模が大きいだけのローカルな守護神とも言える。

で今回の発見で面白いなと思ったのは、共同墓地から見つかった20の棺の中にかなりユニークな棺を採用しているものがあるということ。
こういう、岩盤に掘ったの中に棺がぴったり挟まってるタイプあんまり見かけない。ツタンカーメンの棺のような、外側が石棺になっているものは材料の石材を墓に運び入れるのがまず大変だし、苦労して作っても盗掘される時は棺の石をカチ割られるという弱点がある。その点、この岩盤に直接埋め込むタイプだと、外側の石棺不要なうえに盗掘しづらい。また、このピッタリした感がとても寝心地よさそうである。落ち着く。

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こちらの、外側の石棺は四角いのに中身が人型棺のようにくりぬかれているタイプもすごくぴったりしてて寝心地よさそう。これ穴のサイズが本人に合わせて作られてないと、ここまでピッタリならないですからね。オーダーメイド寝具ですよ。何千年と使う棺なら、このくらい安定した形状でもいいのかも。
やはり棺といえば一生モノなので、こだわって好みのものを購入したいところ。

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で、日本語記事にある棺に天空の神ヌウトに捧げられた棺、とかいう謎の表記がよくわかんなかったんだけど、たぶんこのへんの誤解では…。別にその棺が神にささげられたカラッポの棺だったわけではなく、表面の模様がホルスとヌトだった、という話にしか読めない…。

"The second sarcophagus belongs to Horus and has a scene depicting the goddess Nut spreading her wings above the chest, and below it are inscriptions revealing the deceased's titles, including the title of royal treasurer. "


ちなみに女神ヌトは描かれてない棺のほうが珍しい。
ヌウトは、言うならば死者股の魂が戻る先の空そのもので、棺の表面やフタの裏側などに、翼を広げた姿で描かれることが多い。別に棺を女神に捧げているわけではなく、棺に描く定番のモチーフなのだ。


この記事で気になったもう一つの点は、エジプトさんが出土品のお披露目に使っているガラスケースにとても見覚えがあるところである…。
このケースって、前にサッカラでスカラベのミイラが発見された時にも使ってたやつだよね…?
というか最近のこのテの発見時に毎回使いまわしてるような…。

カイロ博物館の陳列ケースもこの木枠+ガラスのケースだったはず。(およそ100年前からずっと使ってる)

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予算が無いんだろうなあっていうのと、ケースは使いまわしでいいとしてお披露目のあと中身はどこに保管してるの? っていうのが心配。だってエジプトさんだもの…今までさんざん発掘品を無くしてきたエジプトさんだもの…。。
管理してるといいながら、倉庫に積み上げるんじゃないといいのですが。