クラウド解読で内容判明、フランス・フィニステールの海岸の碑文

論文をインターネット上に公開して不特定多数の査読者がチェックする「クラウド査読」という言葉があるが、最近では解読できない文章を不特定多数で解読チャレンジする「クラウド解読」もアリらしい。

フランスのフィニステール地方にあるPlougastel-Daoulasという町では、海岸で数十年前に見つかっていた碑文、誰も解読できず困っていた。そこでコンテストという形にして世界中から翻訳を募ることにした結果、ようやく内容が分かった、という。

Mysterious, centuries-old rock inscription finally deciphered
https://www.livescience.com/mystery-inscription-translated.html

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この石碑は、干潮時にのみアクセスできる入り江の石に刻まれていて、ハート型の十字架や船も刻まれているという。アルファベットの一部は上下逆になっており、また、北欧語の表現に使われる変形したアルファベットも入っていた。
基本的にブリトン語だが、ウェールズ語と思われる単語も組み込まれているなど、きれいな文章というよりおそらく当時の口語に近いような砕けた書き方だったため、なかなか解読されなかったらしい。

解読の結果を受賞したのがケルト語と英語の教授っていうのは、ああ、なるほど…という感じ。必要なスキルを持ってる人が受賞したわけだ。

解読の結果、この碑文はフランス革命の数年前に海岸で水死した、おそらくセルジュという名前の男性を悼むもので、ボートが転覆して亡くなったことを示しているという。

つまりこれは、生き残った友人たちが亡き友に捧げた記念碑だった、というわけだ。

フィニステールは場所的にブリトン語圏に近いし、すぐ北がいわゆるノルマンディー(北欧人が多数入植した場所)にあたる。両者の言語の特徴が碑文に混じっているというのは、その意味で興味深い。

たぶん書いた本人たちは、誰かに読ませるつもりではなく、自分たちだけの記念碑とするつもりだったから、解読しづらいものが出来上がってしまったのだろう。女子高生同士のショートメッセージのやり取りを、230年後に解読するところを想像してみれば、このケースに近いかもしれない。

それにしても、世界中から専門家を集めて解読チャレンジできるとは、便利な世の中になったものです…。