バナナの歴史がまた1ページ… ラピタ人と行く太平洋の旅 with バナナ

前提として、バナナの原産地は東南アジアのどこかとされている。

マレー半島やニューギニアに原種があり、突然変異で生まれた種のないものが人類の移住に伴い広まっていった。3-4万年前には栽培化に着手されていたと考えられているが、ニューギニアで高地でバナナの花粉が急増するのが7,000年前くらい。

そのニューギニア周辺の島を旅立ち、太平洋の島々に人類史上初の上陸を果たすのがラピタ人である。彼らは現在のポリネシア人の祖先の一つと考えられるが、イコールではない。その後に移住してきた人と混じり合っているからだ。また、ラピタ文化は紀元前3,300年頃から2,500年頃まででて、それ以降は特徴的な土器などが見られなくなる。これはラピタ人が全滅したわけではなく、文化が変化して見えなくなっただけだ。なお、現在のポリネシアで話されているオーストロネシア語族として系統を追う場合、言語はあとから入ってきているので、経路と年代が新しくなる。

以上を前提として、こちらのバナナの話に入る。
これは、歯のついてる歯石から生前に食べたものを割り出す、という方法を使い、初期に移住していったラピタ人たちが移住先でバナナを食べていたこと、すなわち島にバナナを植えていたことを証明したという研究だ。
対象はバヌアツのエファテ遺跡の人骨。


3,000-Year-Old Teeth Solve Pacific Banana Mystery
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.com/2020/01/3000-year-old-teeth-solve-pacific.html

Banana.jpg

ラピタ人が何食べてたかについては、土器の中に残ってた植物を調べたり、黒曜石の包丁についてるデンプンを調べたり、島の地層の花粉の状態を調べたりと色んな方法で調査されていたけれど、腐りやすい植物の遺存体はなかなか残らない。
歯石から分析していくという方法は暑い地方では有効で、なるほどこの手段でいくか…という感じ。

(ちなみに同じように暑いインドでも、古代人の食べ物を歯石から分析しようとする研究がある)

今回、歯石からバナナが同定されたことで、ラピタ人が最初からバナナ持って太平洋に移住していったこと、移住先でバナナを植えていったことが証明できるようになった。


なお、東南アジアには「バナナ型神話」と言われる神話のテンプレのようなものがある。
神が人間に「石かバナナか」を選択させ、不滅の石ではなく腐りやすいバナナを選んでしまったために人間は短命になったのだという。これは日本でいうとイワナガヒメとコノハナサクヤヒメの選択に比類される。

しかし、たとえ腐らないにしても、石じゃお腹は膨れないし、石を眺めて嬉しい人もあんまりいない。
バナナを選んだ人類の選択は必然で、それは同時に、今いるところで安定した暮らしをするよりも、不安定になるかもしれなくても、よりよい生活を求めて未知の世界へ乗り出す意思の選択でもあったのかもしれない。