サウジアラビアの女性たちの50年。横浜ユーラシア文化館で開催中

『サウジアラビア、オアシスに生きる女性たちの50年―「みられる私」より「みる私」』という企画展に行って来た。
本当は講演会の日に合わせて行こうと思ってたんだけど、ちょうど台風直撃で、講演会は中止になっちゃったので…。

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http://www.eurasia.city.yokohama.jp/exhibitions/

これは、サウジアラビア西部のオアシスの村で50年に渡り行われたフィールドワーク調査のサマリーみたいな感じの企画展で、調査を始めた当時は子供だった人が、同じ場所で壮年に達した姿で写っている写真が並べられていたりして、「ほう…」となる。砂漠に暮らす民の50年の変遷を見ることも出来るじつに興味深い内容になっていた。

サウジアラビアはほとんど旅行者に門戸を閉ざし続けていた国だが、調査者は外交官の妻ということで国内に入れたようだ。また調査者が女性なので、知られざる女性たちの暮らしぶりがテーマになっている。女性たちの部屋着の資料なんか女性じゃないと集められないよね…。
サウジアラビアの女性たちといえば、頭の先からつま先まで全身黒い布ですっぽり覆っていて、なんだか抑圧されているみたいなイメージを持たれがちだが、あの黒い布は「他人からは自分が見えない」が「自分からは良く見える」ので匿名性のある解放感が味わえるものだ、という話が描かれていたが、同様の話はイラクやエジプトをテーマにしたエッセイでも読んだことがあるので、やっぱりそうだよね。という感じ。また黒い布の下はテケトーでいいので、現代ではシャツとジャージ(!)というめちゃくちゃラフな室内着のまま、布だけ羽織って買い物に行くらしい。化粧もいらない。髪のセットもいらない。めっちゃ楽。

とはいえ、女性たちの社会進出に伴い、状況はさらに変わりつつあるようだ。
黒い布の下を西洋風の装いでおしゃれしたり、女性同士での仕事中は布を被らない女性もいる。女性向けサロンが出来たり、女性むけのエステやビューティーが誕生したり。
そんなこんなでサウジの女性むけ化粧品市場は最近になって開拓されはじめたジャンル…らしい。

サブタイトルが「女性たちの50年」となっているが、この50年で大きく変わったこと、変わりつつあることを感じられるのもこの企画展&展示会の資料の面白いところだ。


変わりゆくサウジアラビアの女性たちの生活アイテムの中で面白いなと思ったのが、ハレの日に顔につける仮面のようなもの。
よく似たものを見た覚えがあって探してみたらアッシリア展の資料の中にあった。これ。紀元前8世紀。
イベントのアイコンにもなっている、仮面をつけた女性の顔にあるものと見比べると、よく似ているのが分かる。

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また、女性が身に着ける装身具にシャラシャラ音をたてるものがあるのは、男性と不用意に接触しないためのものだ。という話は、インドの農村部と同じだなと思った。最近読んだインド・カッチ県(北西部)のフィールドワークの本で、女性と男性の生活空間が別れている村では、女性たちは常におしゃべりしたり音を立てたりして、自分たちの存在をアピールして男性を避けているとあった。

ネックレスや衣装の模様など、一部にインド北西部にあるものと似た雰囲気があって、インドとアラビア半島の繋がりをうっすらと感じることも出来た。

小規模ながら、とても面白い展示だったと思う。