ネス湖のネッシーの正体は巨大ウナギ! という報道→実は元の報道はちょっと違う

このテの日本語の報道はいつもどこかおかしい上に、まとめサイトがそこからさらに派生させて変な方向に盛り上げようとするから面倒くさいことになるんだよな…。ってわけで、毎回言ってるけど、良く分かんなかったら自分で元のソースから辿るのオススメ。

ネッシー、存在せず=正体は巨大うなぎか-科学者チーム
https://www.jiji.com/jc/article?k=2019090501201&g=int
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これに関する別の英語記事

Loch Ness monster could be a giant eel, say scientists
https://www.theguardian.com/science/2019/sep/05/loch-ness-monster-could-be-a-giant-eel-say-scientists

https://www.bbc.com/news/uk-scotland-highlands-islands-49495145

ここからするに、

 ネッシーの正体がウナギと断定されたのではなく
 現状ネス湖にいる生物の中で最もネッシーっぽいものがウナギと結論された


というのが今回の報道の正確な内容。



まず、今回の調査は「環境DNA」(eDNA)というものの調査から行われている。
これはたとえば魚の排泄物から発したものなど、水の中に「いま現在そこに住んでいる」生物のDNA情報が溶け込んでいることを利用した調査方法で、日本では琵琶湖の生態調査などでも使われている。
水に混入しているDNAの量や種類により、その水域に住んでいる生物の量や種類も推定できる、という調査の仕方だ。

eDNAの調査方法
https://www.env.go.jp/policy/kenkyu/special/houkoku/data_h27/pdf/4RF-1302.pdf

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琵琶湖での調査例

琵琶湖周辺河川の魚が丸わかり -環境DNA分析で40種の魚の生息場所が明らかに-
http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2017/180228_1.html

もしネス湖に未知の生物がいてウン〇を出しているのであれば、未知の生物のDNAの痕跡が出るはずなのだが、今回の大規模な調査ではそのようなものは全く出なかった。また、大型の爬虫類の存在を示唆するものもなく、カバやナマズ、淡水サメの存在も否定された。かわりに、想定外に大量のウナギのDNAが検出された。

検出された生物=現在そこに住んでいる生物。
他の大型の水生生物が検出されない中、現在ネス湖にいることが確定している生物の中で最も見間違えそうな生物はウナギである。という結論に達するのは妥当だろう。

ちなみにウナギは生殖行為を行うと寿命が尽きてしまうのだが、特に生殖行為を行わず、エネルギーをため込んだ場合は、100年を越えて生きる可能性もあるという。水族館で飼われたウナギでは80年生きた記録もあるそうで、何らかの理由で長生きしたウナギが、広い湖の中で巨大化するのはあり得ない話ではないらしい。これはたとえば、夜店の金魚すくいで取った金魚が巨大化した事例を探してみるとイメージがつきやすいと思う。数センチの金魚が1m近くまで成長することもあるのだから…いわんや、うなぎをや…。



今回の調査はネス湖とその周辺に住む生物の多様性を調査することが目的の一つだったとのことで、単なるバラエティ的な怪獣探しではないし、調査の仕方も科学的で妥当だと思う。もしこの調査に文句があるならぜひ自分たちで調べてみてほしい。それによって我々の研究のデータが集まるから我々としても嬉しい(ニッコリ)と研究者は言っている。

…しかし怪獣と見間違われるほどの巨大なうなぎとは。
一体、うなぎのゼリーよせ何人前作れるんだ…。ゴクリ。

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※なお、今回の記事に書かれている「うなぎ」はヨーロッパウナギであり、日本で食べられているものとはちょっと違う種類。産卵場所はカリブ海に隣接するサルガッソーで、成長したウナギはそこから大西洋へとやってくる。そしてネス湖へは川を遡ってたどり着いたのだろう、というのが今回の研究の一部になっている。

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