全てがおかしい。ツッコミが追い付かない。KFC「公式」プロモーション乙女ゲームをやってみた。

カーネルおじさんと恋する純愛ADV、なるものがsteamで無料配信開始。その名も、「I Love You, Colonel Sanders! A Finger Lickin’ Good Dating Simulator」…。
概要などは以下の記事を参照。う、うん、なんかすげぇ。
https://automaton-media.com/articles/newsjp/20190925-102537/

さっそくプレイしてみたのだが、ツッコミどころが多すぎておいつかねぇ…

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要所要所に組み込まれるフライドチキンやビスケットによって販促活動の要件は一応満たしているが、これ、作ってる人の趣味だろ?! ていうか面白いからやっただけだろ! みたいなところもあり。まあでも悔しいけど食べたくなってくるんだよなこれが…うん…ゲームに出てくる食い物ってなぜか美味しそうなんだよね…。

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さて、ゲームがとにかくツッコミどころ満載なのはさておいて、今回注目したいのは、このゲームが見事に日本の乙女ゲームのテンプレをなぞっている、という点である。

具体的に、どこがテンプレなのかを見てみよう。
まずこれは、攻略対象カーネル・サンダース(美形イケメン)を"落とす"のが目的の乙女ゲームの体裁をとっている。
舞台は学園であり、登場人物の中には「親友/幼馴染」ポジションの生徒と、「ライバル」ポジションの生徒がいる。それが以下の2人だ。
ライバルは主人公より美人かつ才能や財力に恵まれており、多くの場合、高飛車などの属性が付与される。
学校生活の中ではハプニング、危機的状況、学校行事のイベントがあり、その中でキャラ同士の絆を深めあっていくという作りになっている。
…以上、全て乙女ゲームの基本テンプレどおりの作りとなっている。

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さらにキャラデザインも日本のアニメやゲームによくあるテンプレに沿っていて、胸やふとももを強調した服装、斜めに傾いたポーズ、現実的に有り得ない髪の色、眼鏡っ子、どじっ子属性などが、これでもかといわんばかりふんだんに盛り込まれている。あまりに盛り込みすぎて全キャラ異様に濃い。(笑) 若干のやりすぎ感は否めないが、今回の場合それが逆に面白さを生み出している。

これは、スタッフが日本人だから、とかではない。そして英語のみで日本語版がないことからも判るように全世界展開で、日本だけが対象のプロモーションではない。
にも拘わらず日本のゲーム特有のテンプレが普通に使われている。この現象はここ10年くらいあちこちで見かけるようになったが、要するに「日本のオタク文化」がグローバルなテンプレになった、と言っていいことを意味している。グローバルなテンプレートというと、たとえばギリシャ・ローマ文化などが代表例で、要するに「〇〇文化といえば、これこれ、こういう感じ」と多くの人がすぐにイメージ出来るものを指す。たかがサブカル、たかがオタク文化、と言われていたものが世界に通用する。これは非常に興味深いことだと思う。


また、このゲーム実はマーケティング戦略としてもかなり高度な技を使っている。
アニメやゲームに出てくる食べ物は、どういうわけか、やたら美味しそうに見えるもので、日本のアニメに出て来た食べ物、たとえばタコヤキやたい焼きなどが、アニメ人気とともに海外でブームになったという話もたまに聞く。(同様の現象はドラマや映画でも起きる)
従って今回のように、ゲームという形式をとってその中にいかにもうまそうなフライドチキンの画像を組み込むことは、実は正しい戦略と言える。

steamという配信プラットフォームを選んでいることからしても、おそらくターゲットは「ゲームプレイを趣味とするいわゆるゲーマーやオタク」の層である。そして、その層へのアピールとして、テンプレをなぞったやり方は非常に効果的だし、印象的でもある。

おバカな宣伝と見せかけて、実は深く考えぬかれた戦略なのかもしれない。



と、おそらくもっともらしいうんちくを付け足して予算をとったのだろうが、実際のところこれ単に乙女ゲー好きだから作りたかっただけだろ企画者&マーケティング担当…? わかってる、言わなくてもだいたいわかる。上の人はそれっぽい言い訳つければ意外と企画通してくれるもんな…! (肩ポン