古代エジプト人はフォアグラを食べたか? ソースを漁ってみたが証拠は無かった

フォアグラの起源は古代エジプト! と主張している本があり、ん? そうだっけ? ってなったのでちょっと調べてみた。
結論から言うと

 ・古代エジプト人がカモやガチョウの口に餌を突っ込んでたのは確認できた
 ・が、肝臓(フォアグラ)を食べてた証拠はない
 ・単に太らせて丸ごと食ってただけかもしれないため、「フォアグラの起源」までは言い過ぎ
 ・人工的に肥育する技術の先駆け、と言うことは出来る



フォアグラというのは、ガチョウやアヒルなどに大量の餌を与えて肥大させた肝臓のこと。太った鳥の肝臓はこってりして美味しいらしい。(私はあまりおいしいとは思わないが…)

効率的に肝臓を大きくするために、口に漏斗を突っ込んで餌を食べさせるのが現代のやり方だが、それによく似た方法で餌を食わせている絵が、エジプトの墓の壁画にいくつか存在する。

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これらの絵をもって、「フォアグラは古代エジプト起源とされている」と書いてあるサイトは多数見つかった。
鳥の口に手をあてて餌を食べさせている絵は、確かにフォアグラの作り方そのものなのだ。

例)
https://culinarygypsy.com/2012/06/23/foie-gras-the-controversy-the-history-the-tradition/
http://www.artisanfarmers.org/historyoffoiegras.html

だが、肝臓(つまりアォアグラを)食べていた、という証拠がない。
出てくるのは太らせたカモやアヒルを丸ごと食べているシーンだけで、文章を見ても「まるまるとしたガチョウ」はとても美味しいものだ、といった内容しか出て来ず、特に「ガチョウの肝臓は美味しい」のようにフォアグラに言及されている部分が見つからない。

ということは、古代エジプト人が鳥を太らせて食べていた、とまでは言えるけれど、フォアグラを食べていた、とは言えない。


なので最初の結論どおり、「フォアグラの起源までは言い過ぎ」「肥育する技術のさきがけと言うことは出来る」といったところ。
アヒルやガチョウを太らせてから食べるのはギリシャやローマでもやっていたらしいので、フォアグラの起源は美食に拘ったローマに求めるほうが近いのでは、という気がしている。
ちなみに現代の「フォアグラ」という言葉の語源はラテン語にあり、フォアの部分は「イチジクを詰められた」を意味するficatumに由来する。これは太らせるのにイチジクを食べさせていたことから来ている。というわけで、ローマ人が呼んだ jecur ficatum(イェクール フィカトゥム =イチジクで育てられた肝臓)、これが確実に言えるフォアグラの起源である。

(まぁでもこのケースでは、逆にフォアグラが古代エジプトに「無かった」とも言えないので、ファラオの食卓にフォアグラが載ってても必ずしも間違いではないと思う。)