カナダの森で戦前の日系入植者の集落跡が発見される。この遺物、見たことある…!

カナダ・ブリティッシュコロンビア州の静かな森の奥で発掘された、第二次世界大戦前に入植していた日本人の集落の記事が出ていた。森の伐採権を得た実業家がいて、伐採を仕事にしていた人たちが定住していたらしい。暮らしていたのは1918年~1942年とのことでおよそ80年前なのだが、遺跡も遺物もめちゃくちゃ見覚えあるやつ。では実際に見てみよう。


Nikkei secrets unearthed on the Seymour
https://www.nsnews.com/news/nikkei-secrets-unearthed-on-the-seymour-1.23917368

*こちらの記事に動画と同時代の日系人の写真がある

Archaeologist explains settlement finds in North Shore mountains
https://www.cbc.ca/news/canada/british-columbia/archeologist-reviews-project-1.5258769

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お風呂…ofuro… そう、日系人の入植地といえばやっぱりお風呂!
どこに行っても必ず作るよね。

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茶碗、どんぶり、酒瓶。とても見覚えのあるデザイン。今でも現役で使えそうな保存状態。
日本の廃村から出てきました、って出されても信じてしまいそうな遺物ばかりだ。


発掘したのは地元の大学の考古学教室。
14年前にここを見つけた時は何なのか分からなかったが、これらの食器などを見つけてようやく日本人の入植地と判ったとか。また、お風呂は、最初の発掘シーズンに見学に来た年配の日本人女性から「お風呂どこ? 日本人の村ならお風呂はあるでしょ」と指摘されて見つけ出した、とのこと。発掘者のMuckleさんお気に入りの発見物だそうだ。

異国の地に入植してとりあえずお風呂作る、っていう心理は、現代の我々も良く分かるはずだ。
旅行中に1週間シャワーだけ、ならまだ何とかなるが、年単位で一度もお風呂に入れないのはキツい…。お風呂がある暮らし、それは日本人のアイデンティティのようなもの。ローマ人の都市に行けば必ず闘技場か演劇場がある、というのと同じように、代表的な遺跡と言っていいかもしれない。




と、和やかな発見なのだが、実はここには、ちょっと悲しい歴史が秘められている。
この集落が使われていたのが1942年までだと、なぜわかるのか。
それは、その年から日系人の強制移住が開始されたからである。

日本が真珠湾を攻撃したのが1941年。その次の時から、日本人は敵性民族と見なされて、アメリカおよびアメリカの同盟国であるカナダや南米の諸国から姿を消していった。…このあたりの歴史は、日系人の強制収容所やアメリカを中心とする排日運動を調べれば幾らでも資料は出てくるので、敢えて詳しくは書かない。ただ、ここに生活の痕跡がそのまま残っているのは、住人たちがモノを持ち出すことも出来ずにある日、突然いなくなってしまったことを意味している。


埋め戻された集落跡は、そのまま森へ戻っていくのだろう。
かつてここに暮らしていた人々の記憶とともに。