ツッコミどころしかなくて困る…エジプト~黒海ルートを「葦船で」航海する"航海実験"が開始される

記事を読んでも意味が分からない…。そしてこの自称・航海実験も、全く「実験」になっておらず道楽としても50年遅い。

古代船で黒海からエジプトへ、数千年前の航海を再現
https://www.afpbb.com/articles/-/3240379

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「数千年前」と言っているが、ヘロドトスの著書を参考にしているらしいのでせいぜい2,500年前くらいの航海を再現しようとしているのだろうと思うが、そのくらいの時代って沈没船などで船の実物が幾らか残ってるわけですよ。もちろん木造船。

エジプトからトルコに至る東地中海の交易ルートを通っていた船ではウル・ブルンの沈没船が有名。
この船は紀元前1,300年ごろのもので、積み荷の中にエジプト産のものも含まれており、エジプトからトルコまで航海していたことが確実な船。
http://www.nauticalarchaeologyjp.com/article/photo/2005041075.html

なのに、こうした実在する船の資料を全然使わず、なぜか葦船を、それもなぜか壁画から再現して使ってるという意味不明さ。
さらにこの航海になぜか南米の人が参加しているというからさらに意味不明である。いや、確かにボリビアの人は現代でも葦船に乗ってたりしますよ。でもチチカカ湖だぞ。海じゃないぞ。はっきり言って関係ない。

このムチャクチャな「実験」と称するショーによく似た"航海実験"は、実は既にトール・ヘイエルダールがやっている。
南米の文明はエジプトやメソポタミアの文明とよく似ているから、きっと葦船で大西洋を渡って文明を伝えたに違いない…と考えて、実際に葦船を作って大西洋の横断を行ったのだ。イースター島への"航海実験"は有名で「コンティキ号」という名前もよく知られているが、こちらの大西洋横断航海では「ラー号」という船が使われている。そう、エジプト神話の太陽神ラーにちなんだ名前だ。

この航海は二回目の試みで"成功"はしている。
が、もちろん、東地中海の文明が葦船で南米に伝えられたなどという説を真面目に信じる専門家はいないだろう。現代人が現代の知識を使って現代の海を航海出来たところで、何も証明できないのだ。



まとめてツッコミを入れた日本の「三万年前の航海を再現」するという実験も、今回のこれも、あまりにツッコミどころが多すぎて、細かいところいちいちツッコむが面倒くさい。それよりまず、「それは"実験"手法として不適切で、何の証明にもつながらない」という大前提が問題だ。はっきり言えばロマン詐欺だし、こんなことやるよりもっと有意義な"実験"をやって欲しいのだが…。


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おまけ
例のアレへのツッコミまとめ

【まとめ用】これは実験考古学でも真っ当な学問でも無いです…。「3万年前の航海 徹底再現プロジェクト」
https://55096962.at.webry.info/201704/article_14.html