食用キノコから毒キノコに変更されたスギヒラタケ、その後いったいどうなってるの?

かつて食用キノコとして広く食べられていたにも関わらず、2004年に脳症との関連が疑われ、とつぜん「毒キノコだから食べないで!!」に変更されたものがある。スギヒラタケだ。

農林水産省のページ
http://www.maff.go.jp/j/syouan/nouan/rinsanbutsu/sugihira_take.html

kinoko.PNG

このキノコが2004年にとつぜん毒キノコ扱いになった理由は、実は法改正にあった。2003年11月、感染症法が改定され、急性脳症の症例を全数調査することになった。その法改正後のはじめてのキノコシーズンに報告された急性脳症の中に、スギヒラタケが原因と思われるものが多数混じっていたのだ。

つまりこれは、キノコがとつぜん毒を持ったとかいう話ではなく、それまでもキノコ毒による症例は出ていたけれど、気づいていなかったというのが正しい。長ければ食後一週間以上経ってから症状が出ること、腎機能に問題のある高齢者に発症しやすいことなどが原因で、キノコとの因果関係が明らかにならなかったのだ。このキノコは東北・北陸の日本海側でよく食べられるというから、その地域の風土病として認識されていた可能性もあるという。

それにしても長らく食用キノコとして愛食されていたものが実は毒キノコだったというのは…。キノコの持っている毒の種類は数多く、どの成分がどのように働くのか判っていないことも多い。このスギヒラタケのケースでも、なぜ腎機能に問題のある人ほど脳症を発症しやすいのか、どの成分が脳症に関わっているのかといったことがまだ完全には解明されていないようだ。
ググってみたけれど、「キノコの成分が血液脳関門を壊すらしい」くらいしか出て来ず、腎機能との関連性や、なぜ脳症が発症するまでの期間に大きなバラつきがあるのかまでは判明していないようだった。

参考>血液脳関門
https://bsd.neuroinf.jp/wiki/%E8%A1%80%E6%B6%B2%E8%84%B3%E9%96%A2%E9%96%80

"英略称:BBB

同義語:脳毛細血管、脳血管関門

 血液脳関門(Blood-brain barrier, BBB)の解剖学的実体は脳毛細血管であり、脳室周囲器官を除いては、内皮細胞同士が密着結合で連結している。当初BBBは、この構造的特徴によって、細胞間隙を介した非特異的な中枢への侵入や、脳内産生物質の流出を阻止している物理的障壁と考えられてきた。しかし現在では、BBBは脳に必要な物質を血液中から選択して脳へ供給し、逆に脳内で産生された不要物質を血中に排出する「動的インターフェース」であるという新たな概念が確立している。"



それから、腎機能に問題がなくてもスギヒラタケによる中毒が発症したという例も。
http://www.jsomt.jp/journal/pdf/058050247.pdf


キノコの毒性に、年ごとや地域ごとのバラつきがあるかもしれないし、肝機能の低下以外に何か体の不調を組み合わせると発症しやすいとか、まだほかにも条件があるかもしれない。いずれにせよ、「美味しいけど食べたら一週間後に痙攣起こしてぶっ倒れてるかも」というのは、なかなか自然も憎い罠をしかけてくる。危険なものほど美味しい、危険と判ってるけど食べたくなる、それもまた…ヒトの業なのか…。