エジプトさんたまに地震来るけど、ピラミッド建設中に地震は来なかったのか

タイトルのとおり、「ピラミッド建設中に地震来なかったのかな」っていうのが気になったんでちょっと調べてみた。


1992年、カイロ南部でマグニチュード5.8の地震が発生した。

この地震では、地震を想定していないエジプトの脆い建造物に大きな被害をもたらし、7,000人を越える死傷者を出したという。古代の建造物のほうが現代のものより丈夫だったとは思えず、もしピラミッド建造中に同規模の地震が発生していたら、かなりの被害を出していたものと思われる。ピラミッドの建設現場を想定したのは、

 ・ピラミッド建造中の職人の町はかなり過密状態であったことが遺構から分かる
 ・建物や労働者に被害が出たら大規模な建造プロジェクトは頓挫する可能性がある
 ・1992年の地震では実際にピラミッドに被害が出ている
 ・経年劣化しているとはいえ、完成品のピラミッドにヒビ入るくらいなら、建造中は余計に危ないのでは

という思考の流れから。


【前提条件の整理】

大規模なピラミッド建築が行われていたのは、第3王朝~第6王朝のおよそ500年間
紀元前2600年くらい~2100年くらいまで。

【エジプト北部(カイロ近郊)で地震の起きる確率】

過去の地震データ(※カイロから遠いシナイ半島などの地震は省いた)

1754年9月2日 カイロ 4万人死亡という説あり
1847年8月7日 ファイユーム 200人弱死亡
1955年9月12日 アレキサンドリア 約100人死傷 M6.3
1992年10月12日 カイロ 約7,000人死傷 M5.8

ちなみにエジプトの地震学についてはなんか所国際地震工学センターなるとこが研究してた
https://www.kenken.go.jp/japanese/contents/activities/cooperation/pdf/0601053.pdf

earth.PNG


東地中海に火山がいっぱいあることから分かるように、東地中海から紅海にかけてプレートの亀裂が走っている。そのため地震の確率としては地中海沿岸のアレキサンドリアと紅海沿岸のほうが高いようなのだが、カイロ近辺でも意外と地震の発生履歴がある。

近代だけ見ても、統計データ上、それなりの規模の地震が100年~200年に1回くらいは発生している。つまり、ピラミッド建設中に近辺で1回も地震が起きなかったと考えるより、最低でも1-2回は起きてたはずと考えるのが妥当だと思う。

もしも、クフ王の息子のピラミッドが建設途中で放棄された理由が、地震だったら?
屈折ピラミッドのあとに傾斜の緩やかな赤ピラミッドが築かれた理由が、地震に耐えられるものを作りたかったからだったら?
など、いろんな可能性が出てくる。もちろん証拠が無ければただの空想にすぎないんだけど。
逆に、「もし地震が起きていたとしたら、どの王の時代だったのか?」などと考えてみるのも面白いかも。

ただ証明は難しい。何しろ古代の話だし…。
古代エジプト人は 不吉なものは記録しない、残さない がスタンスなので、たとえ地震が起きていたとしても記録には残っていない。日食や月食、地震、蝗害、津波などは、外国からの旅行者や隣の文化圏(メソポタミアなど)が記録していても、エジプトの記録では沈黙されており、うっすらと神話の中に言及されるくらい。

文書記録には頼れないので、証明するなら、地質とかかなぁ…。そもそもナイルの氾濫の堆積土で隠れてるんじゃね? とか、色々難しそうだけども…。



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なお、地中海世界では1000年に1回くらいのペースで津波も発生しているようだ。
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/news/14/5759/

紀元前365年に起きてるとするとその前は紀元前700年くらいかな…
モーセの出エジプトのエピソードで海が割れるシーンは、津波で海水の引いたとこ渡ったのが元ネタじゃないかって言われているのはこのあたりが関係していたりする。