ギリシャで見つかった21万年のホモ・サピエンス、人類の拡散史は書き換わるのか

最近流れていたこのニュース。

ギリシャで発見の頭骨、21万年前のホモ・サピエンス?
https://www.asahi.com/articles/ASM7B3DFPM7BULBJ003.html

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アフリカではなくギリシャで、現生人類っぽい骨が見つかったよ。という話である。
ホモ・サピエンスの誕生は30万年前くらいで、アフリカを出たのも8万年くらい前じゃないかと言われている中で時代に合わないものが出て来たので、人類の誕生か拡散の歴史が変わるのでは…と思っている人もいそうなのだが、そういうわけではない。
結論から言うと、別に歴史は書き換わりません


 古代には「アフリカ」「ユーラシア」という区別はない。
 陸続きなら適当に何所へでも行く
 
 出かけていくのと、出先に定着できるかどうかは別。
 出かけたまま全滅するパターンも結構ある


「出エジプト」とか「アフリカからの人類の拡散」と言われているのは、現代の我々に繋がるご先祖様の、成功した移住の話である。それ以前にも何度も移住を試みて失敗したり、先行するネアンデルタール人などの集団に飲み込まれたりした人たちは存在していたはずなのだ。遠征が一発で成功したと考える理由はどこにもない。
そして事実、今回見つかった骨は、同じ場所からさらに新しいネアンデルタールの骨が発見されている。新天地を目指した人々は、そこで子孫を増やすことは出来なかったのだ。

つまり、この痛みの激しい骨が本当にホモ・サピエンスかどうかという問題は別として、ホモ・サピエンスであったとしても、出かけた先で全滅していてその後に子孫を残していなければ、特に歴史は書き換わらないんである。


別の英語記事によると、今回見つかった骨より4万年新しい地層にネアンデルタールの骨があり、この発見された骨の持ち主の遠征はおそらく失敗に終わったはずで、子孫もいないだろうと書かれいてる。

Modern Humans Failed in Early Attempt to Migrate Out of Africa, Old Skull Shows
https://www.livescience.com/65906-oldest-modern-human-skull-eurasia.html

アフリカの外で最古級のホモ・サピエンスの骨、としては意味があるだろうが、そもそもアフリカの「内」と「外」で分ける意味はほとんど無い。なぜなら、国境や地理的な障害は古代には存在しないからだ。陸が続いていれば、或いは狭い海峡の向こうに新しい陸地が見えていれば、食べ物を求めてとか、好奇心からとか、理由はどうあれ遠征することくらいあるだろう。現在の区切りに従って、アフリカである北エジプトと、ユーラシア大陸であるイスラエルを分ける必要などあるだろうか。ギリシャなら、海沿いに歩いていけばアフリカから案外近い。彼らは、アフリカからそう遠出はしていない。

現状からするに、これは、現代人には直接繋がらない数多くの試みの一つだった考えるべきだろう。