大英博物館、メイス・ヘッドを誤って「花瓶」として展示。→復元から間違えてた可能性あり

「シュメール初期王朝時代の「花瓶」として大英博物館が展示していた品は実は「メイスの頭部」だった」というニュースが流れていた。長年、花瓶だと思い込んでいたものが、よくよく検証してみたら実はメイス・ヘッドだったと。

https://gigazine.net/news/20190111-ancient-mace-head-upside-down/

これ、長年気づかなかった理由ってもしかして復元する時に既に勘違いしてたからじゃないかと思うんだ…。

British Museum realises 'vase' is in fact an ancient mace-head displayed upside down
https://www.theartnewspaper.com/news/british-museum-goes-belly-up


カン違いしていた時代のデータがこれ

https://www.britishmuseum.org/research/collection_online/collection_object_details.aspx?objectId=368267&partId=1&matcult=9036&sortBy=imageName&page=1

画像


この丸いのが、実際は上下逆だったということ。


まず、メイス・ヘッドってなんぞや、という話から。
メイス=日本語で言うと戦闘用の棍棒。ゲームとかやってるとよく出てくる単語ですが。
エジプトだと、ファラオがメイスを持って敵を打ち倒す姿がたくさん残ってます。エジプトの場合もこれと同じく表面に文字の書かれた、敵を打ち倒す儀式に使われたと思われるものが残ってたりします。全く同じではないですが、日本で言う「追儺(ついな)」の儀式のニュアンスで考えると判りやすいです。

画像


↑この棒の先についてる丸い部分がメイスの「頭」にあたります。

んで今回のやつがこれ。


今まで間違えてた向き)

画像


正しい向き)

画像


…判るか? って言われると、正直これは厳しいかも。

というのも、破片から復元された時に、おそらく花瓶だと思い込んで復元しているので、本来は無かった「花瓶の口」が追加されちゃってるから。花瓶として復元されたものは、そりゃー花瓶にしか見えないわけですよ。今までサイトに提示されてて色んな人が見ててみんな気がつかなかったのなら、大英博物館の学芸員だけがバカだったんじゃなくて、見てたほかの専門家や多少でも知見のあるマニア、学生etcもみんなバカですよ。人はかくも思いこみによってモノを見てしまうのかと。

ちなみに、このメイスヘッドに書かれてる楔形文字の文書は、ウンマ市がラガシュ市と国境を争っていたことに起因する戦の神シャラに対する祈願のようでした。ウンマ市の推し戦神で、ルガルバンダ叙事詩などに登場する。

参考データ シャラ
http://www.moonover.jp/2goukan/meso/god_list/shara.htm

戦神に祈願してる時点ででっかいヒントがあったのになあ…!
というか、今回「花瓶じゃない」と気が付いたのって、シャラの名前があったからじゃないかと。他のメイスヘッドも戦神への祈願の文章が書かれてることが多いので。解読は出来てたのに、発見当時の知識だと判らなかったんだなあ…。



というわけで、本件から学べたことは以下。

=====================
・復元とは、発見物の印象を大きく変える可能性のある行為なので慎重に検討しないと危険

・遺物の復元は、復元する時点で、その破片が「何」なのか正しく判定できていないと別モノになってしまう可能性がある

=====================

失敗した人がバカなんじゃない。失敗から学べなければバカになる。
同じように復元時の印象で別のものと勘違いしてるケースはほかにもあるかもしれないし、犯してしまいがちな失敗として心にとどめておくのは大事な気がする。