古代エジプト、初期のミイラの作り方。

トリノ博物館にある紀元前3,700-3,500年ごろ(つまりピラミッド作り始める1,000年も前!)の初期のミイラから、その製造方法がある程度分かったというニュースが流れていた。あのミイラって砂に埋めただけの天然ミイラじゃなかったのか。

Ancient Egyptian mummification 'recipe' revealed
https://www.bbc.com/news/science-environment-45175764

※記事はミイラ画像がばばーんとのっているので、苦手な人はちゅうい

エジプト最古のミイラの防腐剤、証拠を発見
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/16/b/081700218/


それによると、遺体には下処理として松の樹脂のような防腐剤が塗られているとのこと。これはのちのミイラ加工でも使われる手法であり、意図的に「遺体を保存して残したい」という試みが、ピラミッドが作られ始める時代のはるか以前から既に存在した証拠になるかもしれない、という。
ただ、香りづけで樹脂オイルかけてるうちに保存効果に気づいた、とかの可能性もあるし、このミイラだけから当時の標準的な処理を考察するのは不十分。なので、紀元前4,000年の段階ですでにミイラ化の技術を意図的に進化させようとしていた、と考えるのは、結論を急ぎすぎだと思う。

また、樹脂をかけてた部分だけで、この技術がのちにファラオのミイラを作るのに用いられた伝統的な技術の発端か、と考えるのも、少し危ない考えだなと思う。エジプトの王権や王政が確立していくのは、紀元前3,000年前後。時代の前後という意味では一致するが間の期間が開きすぎている。直接的に繋がるかどうかは、間の時間を埋めないと分からない。せめて、他の数少ない同時代のミイラを調べてみるべきだろう。大英も持ってるし。

予想だと、他のミイラからはまた別の「ミイラ化薬のレシピ」が出てくると思っている。もっと後の時代のミイラでもそうだからだ。エジプトは遺体がすぐに腐るので、長く置いておくことはできない。ミイラづくりが商業化されて大量にミイラがつくられる時代になる以前は、その時に手に入る材料で出来る限りの防腐処理をするはずだ。

それから、この時点で遺体の保存にこだわっていたなら、1,000年後の時代までほとんど進化しなかったというのは理由が分からない。ミイラ化の技術が完成されるのは新王国時代なので、このあと2,000年以上かかることになる。流石にそれじゃ時間かかりすぎだ。遺体の保存が重要なら、もっと真剣に色々試すんじゃないかな。

というわけで、今回の報告は興味深いが、パズルの不完全なピースのひとかけら、という感じ。
個人コレクターの持ってるナカダ期のミイラとかも調べられないんですかね? データが揃えば面白そうなんだけど。これからの研究に期待ですかねー