インターネット上に存在することのいまむかし・エジプトマニアのいまむかし

つい最近、こんな会話があった。

 とある人「エジプト同好会つくってるんです。」
 おいら「ほー、ウェブサイトとかあったらURL教えてください」
 とある人「ないです」
 おいら「∑えっ」


10年前なら個人の小さなサークルなんてホームページのないのが普通だったんだけど、最近だとサークルとか同好会って公式のホームページは必ずあるもんだと思い込んでいた。
帰宅してためしに検索してみたが、確かに、その同好会の名前ではヒットしない。というか、公式的なサイトはなくても名前くらいは引っかかるのだと思っていた私は、全くかすりもしないのには逆にびっくりしてしまった。現実に存在するものは、インターネット上にも存在するのが当たり前。無意識のうちに、そんなふうに思い始めていたらしい。

定期的に会合を開いて、パンフレットみたいなものも作っているようなので、現実上には存在しているし、活動も盛んに行われている、でもネットで検索して出て来なければ、まず一般人は知り得ない。おそらく、パンフレットが配られているエジプト関連のイベントに参加している人や、人づてに聞いた人は知ってるのだろうが、それなりにエジプト興味もちの私でも知らない。

オフラインに閉じた活動は、10年前は当たり前だった活動のあり方なのに、いつのまにか、インターネット上で情報を公開して、全く接点のない人とも結び付けられるオンラインの活動のほうが普通の時代になっていた。



私が個人の趣味サイトを開設した当時、インターネットの主流といえば個人サイトで、官公庁や企業の公的なサイトですら、ほとんど存在しなかった。検索エンジンなんてものも無く、自分のサイトに誰か訪問してほしければ、まずサーチエンジンなりホームページをリンクするサイトなりに登録申請をしなくてはならなかった。それをしなければ、せっかく開設したサイトは存在しないのと同じことになり、誰も来てはくれない。
人気のサイトなど一握りで、そこを除けば、まったく見ず知らずの人が来てくれることは滅多に無かった。
インターネット上に存在することは、現実に存在することよりも影が薄かったのである。

しかし今や"実在"の重みは逆転した。飲食店や店舗は、どんな小さなところでも、ほとんどがインターネット上で存在を確認することが出来る。専用のウェブサイトを開設していなくても、地図サイトや電子電話帳には載っているからだ。
現実に存在していても、インターネット上に存在しない、というものが非常に少なくなっている。個人で作った同好会的なサークルでさえ、メンバーのツイッターでのつぶやきなどで検索に引っかかってくるのだから、むしろ逆に、全くインターネット上に存在の痕跡を残さないほうが難しいのではないかとすら思う。

くだんのエジプトサークルがインターネット上に全く痕跡を残していないのは、構成メンバーの年齢層が高いのもあるのだろう。もし40代以下のメンバーが一定数いたら、個人ブログの日記やツイッターの書き込みあたりが検索に引っかかってきたのではないかという気がしている。

いま日本中で、こうした、オフラインに閉じたサークルはどのくらいあるのだろう?

インターネット上に公開された情報は、(たとえそれが間違っていても、だが…)不特定多数が自由に利用することが出来る。
そう思って私などは個人サイトを公開しつづけている。
しかし、オフラインで閉じられたサークルの活動は、オフラインに閉じたまま、限られた人のみに公開されるだけで消えていく。それってもったいなくないのかな? 本人たちはそれでいいのかな? なんとなく、そんなことを考えてしまった。