ようこそ地獄へ! ―キミもIT戦士になってみないか― (基盤屋編)

やぁみんな。エジプトサイト管理人、しかしてその実体はわりと平凡なそのへんの小市民、中の人ですよ。

来年新卒の皆さんは、今頃就職活動真っ盛りのことと思う。だがしかし君たちの希望進路におそらくIT業界は入っていないものと思う。入っていてもN○Tデー○みたいな大手しか見てないんじゃないかな。
何しろ3Kどころか5K7K当たり前、業界総ブラックと名高いこの世界。

だがしかし!

IT業界は場合によってはとても儲かる。ちょっとキツいが男女の差なく職務手当がもっさりつく。残業代も特盛だ。さらに手に職系なので転職もわりと簡単! 決して離職率が高いわけじゃないぞ! 休みは取りづらく付与された有給の消化出来た試しがないが、それでも中の人は毎年どっか旅に出てる! 入社数ヶ月でOJTという名の実戦に放り込まれ、「教える時間はねぇ、自分で学べそして動け。ここは既に戦場だ。動けない奴は辞めろ」な感じで実務経験もガンガン貯まる! 精神か体を壊して離職していく同胞たちを見送りながら、逆に言えば生き残りさえすれば上にあがれるチャンスも!

…うん、書いてて思ったけど確かにこりゃ新卒こねー…いやいや。


この不況のさなか、確実に楽に就職したいと思うなら、IT業界は狙い目。経験ほぼナッシングからでも戦える戦場もある。自分で勉強出来ないヤツはいつまで経っても一兵卒のまま転職もままならず詰みだが、勉強する気があって技術屋として自分でレベル上げできるヤツは5年もすれば稼ぎ頭、わりと能力がダイレクトに給与・待遇に反映される業界なので、天国か地獄かは自分次第。

平たく言うと

 人手が足りない

ので、この業界を目指しそして私の代わりに散ってくれる新兵のために、現役中の人から「IT業界という名の地獄もとい戦場の今」を伝えてみようと思うんだ。




●システム屋のお仕事

そもそも、IT業界って何やってんの? って話をしよう。
携帯アプリのゲームなんていう、世の中的に無くたって誰も死にゃしないようなショボいものを作ってる技術者とかどうでもいい。
ヴォクらがやっているのは、社会インフラを支える大事な仕事なんだ。(※めいっぱいイイ方に言いました)

社会インフラというと、水道、電気、ガス、あと道路なんかが思い浮かぶと思うけど、ここではわかりやすく「物流」を挙げてみよう。

何か荷物を送ったとき、伝票についているバーコードをピコっと読み取る風景が、最近では一般的になってきている。読み取ったバーコードは一意の情報になっており、それをもとにして荷物の配送状況がインターネットで追いかけられるよね。それを実現させているのが、全国をカバーするITシステム。配送会社のすべての支店、従業員、トラック番号なんかがデータベースに登録されていて、バーコードから読み取った荷物情報が刻一刻と更新されていく。問い合わせがあると、その情報が即座に回答される。データベースは一箇所に集中してるけど、データをインプットする端末はもちろん全国の支店にあるし、それらを繋ぐ通信ネットワークも存在する。

それらのシステムを設計、構築、維持、さらに機能の追加や更改(新規に入れ替えること)なんかをやるのがIT屋だ。

物流会社から、これこれこういうシステム作りたいんですけどー と依頼を受けて、じゃー機械はこんな感じでどうでしょう、費用はこのくらいかかりますねー とかやる、最初の部分が「設計」。

その設計にしたがって実際にシステムを組み上げるのが「構築」。

データベースをはじめとする情報を保存しているサーバ(でっかいコンピューターと思いねえ)のメンテナンスをするのが「維持」。

使ってるうちに使いたい機能が増えたよーとか、法律が改正されたんで設定変更してほしいよーとか、機械が古くなったから新しいサーバに載せ替えたいよーとかいうのが、「機能追加」や「更改」。

ITシステムが存在する限り、それに携わるシステム屋の仕事は尽きない。もちろん、このシステムが何かトラブったら物流が停止することにもなりかねないので、物凄く大事な仕事ってことは分かると思う。


ちなみに銀行系のシステム(決算とか、口座の処理とか、カード照会とか)もITシステムでやってるわけで、某みず○銀行なんかは、実際にトラブって数日機能停止してたよね。あのときの騒ぎを思い出してください…。証券取引所で取引ができなくなった時とか…。
たとえ僅かな時間でも、止まると損害額がハンパないことになるシステムが世の中には数多く存在するんだ。

例に上げたのは大規模システムの場合だけど、小規模でローカルなシステム、たとえば、単に自分の会社のメール機能が止まるだけでも、みんな仕事出来なくなって大変なことになる。
システム屋っていうのは、みんなが効率的に仕事できるように、社会を縁の下から支える職業でもあるんだぜ!(※モノは言い様です)


 まぁ扱いは最悪なんだけどな


モノづくり日本と言われながら、この日本において最も冷遇されているモノづくり職と言っても過言ではない。いやむしろ俺ら使い捨て兵(ry

さながら戦争映画で戦線を支える兵士が使い捨てられ塹壕の中からSOSを発信するも救援来ず、な様相の如く。世の中を支えてるはずなのに、システムが止まればヘタすりゃ死人も出るIT依存の世の中なのに、自分の仕事に誇りを持てる要素が見当たらない、むしろ冷めた眼でデスマを嗤いながら斜に構えた者だけが生き残るそんな歪んだ戦場である。

ゆえにマジメな人ほど病んでいく傾向が強いが、斜に構えて戦場を渡る老獪な傭兵たちもいる。戦場に理不尽はつきものである。ぶっちゃけあんまり深く考えないほうが生き残りやすい。

ちなみに、社会のIT依存率は日々高まっている。システムはより巨大に、複雑になり、メンテ要員だけでも人が足りない。人手不足の大きな原因も、ここにある。決して離職率が高いからってだけではないぞ! だけでは!
特に足りないのが基盤屋の部分。あんま聞きなれない言葉だと思うので、次は「基盤屋」について説明してみよう。




●基盤屋という選択肢

IT業界といっても中身は様々。一般人からすると、「なんかプログラム書いてるんでしょ」っていうイメージが強いかと思う。しかし今日ここで紹介するのは、プログラマー(いわゆるPEさん)ではない。基盤屋という人たちだ。業界的に、プログラマのことを「アプリ屋」、基盤を扱う人たちはネットワーク屋も含めて「基盤屋」と呼ぶことが多い。

自分のパソコンでイメージしてみよう。パソコンの上には、様々なプログラムが入っている。メールを送受信するもの、インターネットを閲覧するもの、CDを再生するもの、ゲームプログラムやSkypeツール等など。それらプログラムを作るのがプログラマーさん。基盤屋とは、プログラムを動かしている「パソコン本体」に入っているOSや、ミドルウェアと呼ばれるプログラムを動かす前提となるツールのメンテナンス、インストール、設定などを行う人。

自宅のパソコンならOSはWindowsXPとか7とか8とかで、設定もそう複雑ではないが、実際の企業向けシステムではOSも違えば設定も複雑になってくる。台数が多ければ接続設計も一苦労。場合によっては(というか中の人は)ネットワーク機器の設定もやってたりする

プログラマーさんは一般的にOSとかネットワークとかあんま詳しくなく、自力でOS周りの設定が出来ないことが多い。わかってても敢えて自力で基盤から作る人はあんまりいない。というわけで、プログラマーさんたちがお仕事をするのには、基盤屋の協力が大事だったりするんだ。自分ではほとんどプログラミングすることはないから、プログラムとかわかんねーよwww な状態でもダイジョウブb

ちなみに使用言語が変わると用済みになるプログラマーさんと違って、基盤屋は技術が大きく変わることはそうないから、一回身につけたスキルで末永く食っていけたりするんだぜ! 人数も少ないし、今が狙い目! (裏方の裏方で超目立たないためか、なべて社内評価が低いのが難点。人気がないのはそのせいもあろう。。。)


ちなみに、プログラマーさんと基盤チームの仲は、あまり良好でないことが多い。

「やっぱメモリたりねーから増やして」とか納品間際に言ってきたり、プログラミングのミスでループさせて鯖止めたのに「基盤がバグってる」とか難癖つけてきたり、しかもそれを確定事項として上司に報告しやがったり、断りもなく勝手にルーティングテーブル書き換えて戻せなくなってそのまま放置したり、徹夜明けなんだかなんだかしらねーけど指摘したら半ギレになったりするんだぜ。コミュ障の引きこもり変人多いしなダメだあいつら。
最も基盤チームのほうが良識人が多いとも言えないのが悩ましいところである。
業界人のオタク・変人率は異常。(自分含む)

だが、「ごめんこのプログラム Oracle11じゃ動かねーわwwww やっぱ10に戻してwww」とか散々デバックしたあとに言われたら、そりゃキレるしかねーよっていう。

そんな感じの無茶な要求に耐えてスケジュールを守るだけの簡単なお仕事です☆




●どんなことをやってるの?

こればっかりは、やってみないとわかんねーだろうなーってとこも多いんだけど、ざっくり概念を説明しておくと。

・設計さん

いわゆる上流工程。

大手の会社が仕事を請け負って大枠を決め、その下についた中小様々な同業他社が部分ごとに担当することが多い。
基盤屋でいうと、「これこれこーいうシステムを、こういう機能を持たせて作りたいんですよね」→「じゃあ機械はこれで、積むOSはこれでスペックは…」みたいな感じの流れ。
プログラマーさんだと、チャート図とかで作りたいプログラムの流れを筋書きする作業。
機能改善や更改の時は、新規構築の時と同じく設計→構築を繰り返すことになる。

基本的にお客さんの要望が発端となってシステム設計が始まるはずなのだが、お客さんがITに疎かったり、予算に余裕がないのにムチャな性能を求めてきて折り合いがつかなかったりして、この段階でモメて話が進まなくなることは少なくない。そしてだいたいにおいて炎上プロジェクトの発生は、お客さんの意見を汲み出せず設計が煮詰まらない、お客さんの意見を聞きすぎて設計が二転三転する、といったことに起因する。お客様に神様レベルは求めない、せめて一般的なシステム担当者レベルの知識だけでも…orz


・構築さん

書かれた設計に従って実際に構築する人。基盤屋の場合、OSインストールしたり通信機器の設定したり。インストールするOSやパラメーターの設計は、その上で動くプログラム次第で後から何度も変更されるのが普通で、プログラマーさんの我儘やポカに付き合っているうちに納期が圧してくることもしばしば。奴らのせいでいつもこっちまでデスマになるっていうもうね。


・維持さん(運用さん)

いったんバグを潰し終わって本格的に動き出したシステムは、突発的なトラブルがなければわりと平和。監視システムを見ているだけや、書かれた手順書に従って定期的な作業をするだけの簡単なお仕事も多い。いわゆるシステム屋の中でここが一番スキルがいらない。ただしそのぶんお給料も安いし、24時間監視が必要なシステムだと夜勤のことも。

まあ本来9時18時のはずの構築組も障害対応中なんかは23時終了とかであんま変わんないけどな!!!!!
むしろ定時で帰れてる夜勤組のほうが早いこともあるよね(´・ω・`)


※全般的に恨みが篭っているのは気のせいです


とにかく 精神力と体力勝負 なことが分かっていただけましたでしょう…k… あれ、いや。うん、あれだよそんなキツい仕事じゃないし。たぶん…。


●終わりに

大震災の後、各企業さんの設備投資がわりと盛んになってきている。

停電でも自社システムが止まらないようにしたい、とか、地震でも自社機能を停止させたくない、とか、そういう目先の要望が殆どなんだけど、震災までは「あって当たり前」「適当でいいじゃん」と思っていたITが、実は仕事するのに非常に重要で、止まるとヤバいんだということに漸く経営者層が気づいてくれたんかなあ…とも思う。

この状況がいつまで続くのかはわかんないけど、とりあえず今は圧倒的な人手不足。いまから入社した新兵が戦い方を覚える頃には設備投資も一巡してそうだけど、「システムが動き続ける限り、それに携わるシステム屋の仕事が無くなることはない」のは事実。あるシステムが廃棄されても、また別の新規システムが立ち上がり、この社会はそうして常にサーバとネットワークに頼って構成されている。

いつかシステム維持とか運用の部分は全自動化されるかもしれないけど、設計や構築の部分は人がいないと始まらない。
この戦場がなくなる日が来るとしても、きっともっとずっと遠い未来。
なんといっても「手に職」系の技術職だ! 向かない人にはキツいかもしれんが、ハマればわりと楽だぞ。残業代がちゃんと出る会社に入りさえすれば稼げるしな。

IT業界は、イキのいい新兵を常に求めている!
さぁこいっ。中の人は大量のGeekoたんと一緒に待っているっ。


(これ書いててちょっと泣きそうになって人生を考えてみたりもしちゃったりなんかしたりしたけど、いやでも良い職場と仲間に恵まれれば仕事自体は楽しいんだよウン)