「ヒストリエ」と併せて読むと面白い。「アレクサンドロスとオリュンピアス」

ヒストリエの続刊がなかなか出ないので、5巻で買うのをやめてあとは完結してから一気読みしようと止めてある。

その「ヒストリエ」ではアレクサンドロスの母、オリュンピアスが大きく扱われているが、このオリュンピアスは元々あまり知名度がなかったらしい。そうなのか? と言われても、自分はわりと歴史モノが好きで一般平均よりは色々知っている方な気がするから、良くわからない。

とにかく、「知名度の低いオリュンピアスを扱ったために早々に絶版になってしまっていた、と著者の言う本の文庫版がこれ、「アレクサンドロスとオリュンピアス」。



非常に読みやすい本でスラスラいけるのだが、よく見ると著者は以前紹介した「王宮炎上」と同じ人だった。なるほど。

オリュンピアスをメインに扱いつつ、実際はマケドニア王家の光と闇についてが書かれている。
ドラマもかくやといわんばかりのドロドロの人間劇、王が変わるたびに繰り返される暗殺、処刑。
一夫多妻というシステムは後継者を確実に残すためであったのに、後継者争いを激化させるという致命的な点も持っていた。そのためアレクサンドロスの死後は、激しい後継者戦争が起きる。

単に権力をかけての戦いではない。オリュンピアスを含む女性たちの場合、この戦いは、殺すか殺されるかの生存を賭けた文字通り命がけの戦いでもあった。オリュンピアス一人にとどまらず、王家の女性たちはことごとくこの戦いに身を投じ、敗北し、歴史の舞台から退場してゆく。

凄惨な歴史ではあるが、著者は解釈によって一抹の救いを与えようとしているので、読み終わったあと陰鬱な気分になることはない。まんが「ヒストリエ」に登場するオリュンピアス像と重ねあわせながら読むと、いろんな意味で面白いのではないかと思える本だった。