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zoom RSS 獅子連れたる騎士イヴァンのアイスランド遠征「イーヴェンのサガ」

<<   作成日時 : 2011/11/10 00:10   >>

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「サガ」というと北欧神話のように思えるが、これは紛れも無くアーサー王の名だたる家臣たち、円卓の騎士の一人イヴァン(イヴァイン)君の物語である。12-13世紀頃の騎士文学の流行に乗って、イヴァンの物語が北のノルウェーに輸入され、さらにアイスランド語に翻訳されて今に残っている。


読んだもの

イーヴァンのサガ ―Stockholm64紙写本版
林 邦彦 訳


○元ネタ 書かれたのは12世紀

マビノギオン収録「ウリエンの息子オウァインの物語、あるいは泉の貴婦人」
http://www.moonover.jp/2goukan/mabinogi/3.htm

  ↓

○フランス宮廷文学 12世紀

クレティアン・ド・トロワ「イヴァンまたは獅子の騎士」

  ↓

○ドイツ宮廷文学 13世紀

ハルトマン・フォン・アウエ「イーヴェイン」
http://www.moonover.jp/2goukan/parzival/iwein.htm


ノルウェー語への翻訳としてのイヴァンのサガはフランス語からの訳なので、クレティアンの後。ハルトマン版とほぼ同時期(少し後)の成立になる。が、その最初の輸入モノである羊皮紙版には欠損があり、Stockholm64と呼ばれる紙写本は17世紀のもの。
ノルウェー語からアイスランド語への翻訳も成されていたようで、人物名の綴りなどは若干異なっている。

イヴァン→イーヴェン
ガウェイン→ヴァルヴィン
リネット→ルーネト

みたいな感じで。



ざっと読んでみたが、うむ、まあ、なんていうか…

 相変わらずイヴァン君の獅子はチートだな。


ていうか騎士どうしの決闘に獅子くるのはアリなのかいっていう。
獅子が乱入するシーンが卑怯にならないように、相手の騎士が2人とか3人とか数多かったことにしているのは作者の苦労ゆえんだろうか。


敵A&B「おまいの獅子がヤバいから決闘のときは獅子ぬきでな。」
イヴァン「おーいいよ。でもアイツ呼ばなくてもきちゃうから、閉じ込めとくね」

獅子、鉄格子の中へ
決闘始まり2対1でイヴァン大ピンチ!

獅子「ご主人様に何をするだァーーー」 →バキッ(鉄扉ぶっとぶ)

敵A&B「うそーーーん!」
イヴァン「あ、ごめん。やっぱ無理だった。」

獅 子 無 双



…まあ、だいたいこんな感じで。

獅子って最初ヘビにやられかかってたのを助けられた縁のはずなんだがな。途中から無敵のチート性能になっちゃってるのは…。
好意的に解釈するなら登場時は子獅子で、旅の途中で大きくなっちゃったんだろうかな…。とにかくイヴァン君の一騎打ちは、一騎打ちになってないものが多すぎる。(笑)


そんなご主人ラブでチート性能の獅子が、最後のガウェインとの戦いの時だけ手出ししなかったのは、その時は1対1だったからなのか。そこで獅子が手出ししてたら大惨事だったよなー、とか冷静に考えてみる。元のクレティアン版だと獅子とは途中で別れたことになってるんだが、サガだと最後まで連れていったことになっているのが不思議だ。

全体のあらすじはフランス語、そしてドイツ語のイヴァン伝説をなぞっているように見えて、細部がちょこちょこアレンジされている。一番変わっているのは何故か泉の貴婦人の侍女リネットの立ち位置で、実は高貴な身分で最初からイヴァンと顔見知りということになっていたり、ガウェイン君の嫁になっていたり。

ストーリーの中に他のアーサー王伝説が混じっているところもあり、泉の貴婦人に手ひどく振られたイヴァンが発狂して森に逃げ出すところなんかは、王妃に振られたランスロットの発狂エピソードが重なっている。

和訳で読んでしまうと元の言葉のリズムや雰囲気が感じられず、ノルウェー語でもフランス語でも似たような雰囲気になってしまうのが残念だ。というより、「サガ」と名前はついているものの、内容があんまりサガっぽくないのが原因か。

欲を言えば、せっかく他言語に訳すのなら、何かストーリーを魔改造して地元ローカルなネタとか詰め込んで別ものとして楽しめるようにしてほしかったなあ13世紀のノルウェー人。ほとんどそのまんま写しただけじゃ、何かこう… こうアレだ、せっかく現代に残る別バージョンの物語として楽しめないじゃないか。

騎士文学は、やはりフランス流布本サイクルのあたりのいろんなエピソードごちゃまぜにして創作しまくってたあたりが一番面白い。

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