NHK「異端の王 ブラックファラオ」つっこみ&疑問

というわけで、前回エントリで珍しくベタぼめしてみたNHKの特番、「異端の王 ブラックファラオ」。
このためだけにオンデマンドで210円払って見たんだから、きっちりモト(ネタ)はとるよっ!

#ちなみにNHKオンデマンドはカード登録必須で支払い方法が分かりづらい
#しかも、1番組の値段が高いくせに視聴可能な日数が僅か1日というボッタぶり
#バンダイチャンネルのアニメ映画なら200円で1週間いけるのにな…
#それでもエジプトネタというだけで金払ってる自分乙。




まず不満点。

●タイトルの「異端の王」が微妙…

ヌビア系の王がエジプト全土の王になったという点で、たしかに歴史上は珍しいことだが、彼らが目指した政策は「復古」なので、異端という言葉に違和感がある。「異端」にふさわしいのは、「これまでの太陽信仰は全部チャラな! これからはボクのアメン神が唯一絶対の太陽神だからっっ」とか言い出しちゃったアクエンアテン王(ツタンカーメンのパパね)みたいなののことを言うんじゃ。

エジプト系の王ではない、という意味にしても、ヌビア王朝以前にヒクソス系の王朝が立ったこともあるんだから、第25王朝だけ「異端」扱いっていうのは正しい表現じゃないんとちゃうかなあ。


つぎ間違いかもしれないとこ。

●第18王朝のクシュ王国進出の図で

キャプチャ撮り忘れたけど、クシュ攻撃の時の進軍矢印の出発点がナイルデルタの南端あたりだった。その場所にあるのは現在の首都カイロ付近、古代でいうところのメンフィス・ギザ・ヘリオポリス…。でもトトメス1世の時代のエジプトの首都って、ナイル上流のテーベだよね? 
というわけで、矢印の起点が違うと思う。

首都がクシュ王国に近いエジプト南部のテーベにあったことも、国境を超えた国土拡大に役立ったと思うんだ。


さいご疑問点。

●額に二匹の蛇をつけたのはヌビア系の王が唯一 という説明

王が額につける蛇の飾りは、「ウラエウス」というヘビの女神様。聖なるヘビ、コブラの姿をした王の守護神の一柱。
歴代ファラオウラエウスはたしかにウラエウス一匹のみ額につけてることが多い。でもさ…

↓これが二匹のヘビをつけたタハルカ王の像のキャプチャ
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新王国時代の王族の像つーたら、こんなんとかもあるわけで。
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有名なツタンカーメンの黄金のマスクの額にはヘビとハゲワシがくっついているけど、それは上下エジプトそれぞれの守護女神、ウアジェトとネクベトをかたどったもの。ハゲワシで象徴されるネクベト女神はコブラに置き換えられることもあったから、「上下(南北)エジプトの王(女王)」という意味で二匹のヘビをつけることが全く無かったわけではないと思うが…。

てか25王朝のヌビア系の王たちも、同じように「上下エジプトの王」っていう意味で二女神を額につけたんちゃうかな。
この二匹のヘビはウラエウスが二柱くっついてるんではなく、ウアジェトとムトのことだと思う。
そのへんは特異な点ではなく前例のある中から選んだ、好みの問題ではないかと思う。25王朝の美術の中で、なぜここだけ意図的に取り上げたのかが分からない…。




とりあえず、こんなとこ。