世界七不思議の一つ 古代アレクサンドリア ~ファロスの灯台は何がすごいの? って聞かれたから

「世界の七不思議」というものがある。

もともと古代ギリシャで言われ始めた時には「七不思議」ではなく「古代のスゴイ風景 七つ選んでみた」的な内容だったものが、日本語にされるときに「不思議」がついてしまったのでアレなイメージになっているが、ともあれ現代人から見ると不思議に思える建造物であることは間違いないので、あながち悪い訳ではないのかもしれない。

ラインナップとしては、

・ギザの大ピラミッド
・バビロニアの空中庭園
・エフェソスのアルテミス神殿
・オリンピアのゼウス像
・ハリカルナッソスのマウソロス霊廟
・ロードス島の巨像
・アレクサンドリア大灯台

このあたりが挙げられることが多いが、テレビや雑誌で取り上げられるときは、場合によっては「万里の長城」が入ってることがあるかもしれない。(アジア人から見た「七不思議」ということで、アジアの巨大遺跡も入れたかったんだろう…)

万里の長城を入れない場合、七つのうち、現在も建築当時の面影を残しているのは「ギザの大ピラミッド」のみで、他はかすかに痕跡を残しているか、完全に破壊されてしまっている。



で、エジプト関連のもう一つ、「アレクサンドリア大灯台」である。




現在、灯台のあった場所にはカイト・ベイ要塞という海軍基地が建てられていて、灯台の面影は何もないが、場所からして海に付き出した、灯台を建てるのに適した場所なのは分かるだろう。


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で、この灯台が、なんで古代世界の「スゴイもの」に入っているのかというと。


  当時としては めっちゃデカかったから

…である。まあ、わりと単純な理由というか。



アレクサンドリアは地中海に面した港町。

この街はエジプト人が作った街ではなく、名前からして想像のつくようにアレキサンダー大王がエジプトに来たときに造られた、地中海貿易用の港町である。エジプト人は海を渡る交易を全く行っていなかったが、ギリシャ系の人々にとって海洋貿易は生計を立てるための重要な手段の一つだった。

しかし、出来たてのその港には問題があった。海岸線が複雑で、ナイルから流入する土のせいで浅くなっている部分もあり、大型の船を着岸させるのが難しい。灯台で船を誘導する必要があったが、エジプト人はもともと海洋貿易をやっていないので「灯台なにそれおいしいの」状態。仕方ないので本国からギリシャ人建築家を招いてきて灯台を作ることにした。

そして完成したのが、高さ約134メートルにも及ぶ大灯台。
ギザの大ピラミッドを越すまでは至らないが、古代世界では圧倒的な高さを誇る人工物である。

当時ははるか沖合からでもこの灯台に灯る光が見えたといい、巨大な反射板を用いててっぺんで燃やす炎の輝きを増幅していたのではないかとも言われる。

だが、そんな立派な大灯台も、建てられたわずか数百年後には地震で倒壊してしまう。
エジプトも、地中海岸は意外と地震がある。それを考慮した作りではなかった。

巨大なファロスの灯台は、プトレマイオス王朝下の大いに栄えていた時代だからこそ建築可能だった。つまり、裕福なファラオがピラミッドを建てていた時代と変わらないのだ。
灯台の倒壊した時代のエジプトでは、既に黄金時代は過ぎ去っている。巨大な灯台を修復しなおす資金力はとうに無かった。


放置された灯台の残骸は、一部が海に、一部は要塞建築時に再利用された。また石材の一部は、アレクサンドリアの街のほかの建築物を建てるのに使われたことも分かっている。灯台が完全に姿を消したのは、15世紀のことだ。




ちなみに、この灯台があまりに有名になったせいか、いつのまにか「灯台」を意味するラテン語が「ファロス」になってしまった。よほどインパクトがあり、「灯台といえばファロスだろ」という状態だったらしい。現在でも、その系列を組むイタリア語やフランス語などの中にファロスの灯台の記憶が音として残されている。

地震で壊れはしたものの、ファロスの灯台建造が古代の偉業の一つであったことは間違いない。