古代エジプトでミイラにされた人口総数は何人くらいか

エジプトにおけるミイラ作りの技術は盛んに研究されていて、現地のルクソールには「ミイラ博物館」という専門の博物館まである。成果物であるミイラはもちろん、道具も多く発見されているにも関わらず、「過去にどのくらいの数の人々がミイラにされたのか」を概算してみた資料に、私は出会ったことがなかった。

それがふと見つかった。







疑問:古代エジプトでミイラにされた人口総数は何人くらいか。

 -- 1億5千万人。


ど ん だ け





多数ある動物ミイラを除いて人間だけで1億5千万。
おそらく計算方法は、都市の人口とその都市に占める裕福層の割合から出しているのだろうが、それにしてもなんという数。
今に残っているのがごく一部だとしても、博物館に収めるどころか、保存するのも無理だ。

ミイラは静かに眠らせておけ、研究材料などにするな、という批判に対してこの数をもって反論できる。人の住める土地の狭いエジプトで、このような膨大な「腐らない死者」を未来永劫眠らせておく余裕はない。生者にその場所を譲ってもらわねばならない。開発予定のない砂漠にでも埋めて、いつか時の流れが古代の職人の施した技に打ち勝って、肉体に完全な消滅に導くその時を待つしかないだろう。実際、多くの墓が発掘後にまた埋め戻されている。しかしそうなる前に、死者から古代の情報を聞きだしたいと思うのは、人間の持つ興味ゆえ仕方が無いことだろう。ていうか、そのまま捨てるより病理学やら民俗学やらに役立てたほうが死者のためにもなろう…。


それだけの数のミイラが作られたにも関わらず、実はミイラづくりに使われた建物の遺跡というのはほとんど発見されていない。悪臭を放つため、集落から離れた場所に作られていたから、というのもあるかもしれない。ミイラを作った場所は、「生命の家」と呼ばれる建物と、「ウアベト」というものがある。暑い国ゆえに、ミイラ化は死後迅速に行わなくてはならず、ミイラづくり工房は主要各都市に存在したのだろう。

考え方によっては、ミイラもまた古代エジプトの加工産業の一つだったと言っていいのかもしれない…。





* 数の出典元は「ビジュアル 王家のミイラ」(ナショジオ)]





ちなみに、ミイラづくりの手法は簡素化されていって、最初は王族のみ丁寧なミイラにされていたのが、のちに庶民もミイラ化されるようになります。

なので、最初はミイラといえば王様だけだったのが、次第に貴族・神官などもミイラ化されはじめて数が増え、グレコ・ローマン時代あたりになると日本人が死後火葬にされるのと同じノリで、庶民も「とりあえずミイラっとけ」…という状態なので、中産階級までは総ミイラ化、集合墓地から大量のミイラが発見されたりします。

新しい時代ほど発見されるミイラの数が爆発的に増えていくゆえんですね・・・・。
そのへん、時代ごとのミイラ総数グラフとか作ってみると面白いかも。