古代エジプトの服飾について:材質&基本データ

リクエストというか質問が来たのだけれど、絵がないとどうしても説明できない内容だったので、ブログのほうで回答させていただきます…m(_ _)m
あとあと資料にもなるしねー


●材質

まず古代エジプトの服の材質は、基本的に亜麻(亜麻から作られるリネン)。
絹や綿は古代エジプト王国の時代にはまだ渡来してません。毛織物は、獣の毛が不浄なものと看做されたため、コプト時代になるまで一般的には着られていなかったようですが、例外的に高級神官はヒョウの毛皮を身に纏ったようです。

王様の被る布の王冠(普段着用^^)も材質はリネン。早い時期から機織機が存在し、織り方の雑なものから丁寧なもの、目の粗いものから細かいものまであったようで、そこで一般用と高級品を区別してた模様。

布は貴重品なので、細切れになっても捨てずにミイラを包む布として再利用されることがあり、実際、もとは服だったんじゃないかという彩色の跡のあるはぎれがミイラの布から見つかっていたりします。もちろん王族など高級ミイラを作るんであれば、専用の新しい布を織ったんでしょうが、そうじゃなければ再利用布でミイラを包んでたってこと。地球に優しいネ!(違う)

亜麻の栽培は、ナイルの増水が収まり、麦の栽培が始まる同時期にスタートしていたようです。
玄関マットのような頑丈な布を作るときと、肌着にするようなやわらかい布を作るときでは製法や収穫時期が異なるとか。機織りは技術職なのでお給料がよく、奴隷の給与明細に機織り職人はかなり良い値段で働かされていたという記録が残っていたりします。


で、こちらが珍しく裁断前の状態で見つかった亜麻布の実物。(年代不詳)

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ルーブル美術館所蔵です。
この写真についていた解説から引用すると…

古王国時代の衣服は質素で、貧者と富裕者に衣服の差はほとんど見られなかった。男性は短い腰布で満足し、女性は二本の幅広の飾り紐のついた、体にぴったりしたワンピースで十分だった。こうしたシンプルさに引き続いて新王国時代になると服装はより多様化し豪華になり、上層階級の優雅な男女は、シャツや長い腰布、たれ布付きのワンピースやプリーツ入りのショールを身につけた。


シンプルなタイプだと、こーゆーかんじですね。

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しかしながら、こんなピッタリしてたら動けないじゃん、というツッコミがあるのも事実。
壁画などにはピッタリスカートで描かれてますが、実際はもっと余裕があったんだと思われます。現代エジプトで着られているような、ずぼっとしたパジャマっぽいチュニックみたいなのが着られていた時期もあるので、働く女性も動きやすさ重視でチュニックぽく着こなすか、もっとシンプルに布だけ巻きつけていたかも。


●色彩

基本的には、服は白。しかしながら彩色布も存在します。

壁画に描かれた衣服の色は白が圧倒的に多いが、染色の技術は先王朝時代からあった。染料としては、青にはタイセイが、赤にはセイヨウアカネ、赭土(しゃど)が、黄色には紅花ヘンナなどが使われ、これらをまぜて緑や紫色もつくりだされた。色止めにはミョウバンが使われたらしい。

「ナイルに生きる人びと」山川出版社


刺しゅう糸を染めて、服に飾りつけをすることは行われていたようですが、布自体に染色で複雑な模様を描くことは出来なかったようです。何でかっちゅーと暑い国のこと、現代のように化学薬品で色を固定することが出来なかったため服を頻繁に洗濯するうちに色落ちしてしまったから。

衛生面からしても白が好まれたようで、壁画のような色鮮やかな服装をした人が古代世界に闊歩していたわけではなさそうです。


●アクセサリー

質問にあったので。
えーと、「首のまわりについてる輪状の着色されたアレ」について。

これですね?

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ちょうど今月(2009年4月)号のナショジオに再現画像があったので。
よい資料になるかと思うので、本屋さんでお求め下さい…。

見てのとおり着色した布ではなく金属を土台にした首飾りで、金や銀のほか、ラピスラズリなどの貴重な石を使って作られています。首飾りは重たくてズレてしまうので、首の後ろに、首飾りと釣りあう「おもり」を垂らしてバランスをとって安定させていたようです。壁画だと省略されてるっていうか人物は大抵が横向きなので見えませんが(笑)

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こちらは「図説 古代エジプトの女性たち」原書房 から。首飾りを外すとこんな感じ。
布と繋がってるわけじゃなく服とアクセは別々です。ただ、けっこう重量があるので肌に張り付く感じだったようです。


アクセ部分を拡大するとこんなのがあります。
どれも古代エジプトっぽさを全力でアピールできるシンボルが使われてます。

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えーと。とりあえずこんな感じで。
古代人のコスプレがしたい方にも役にたつかもしれません。ホラ、今度クイーンズブレイドのアニメとかやるじゃないですk(よりにもよってソレか!)

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古代エジプトの服飾について詳しく載ってる本をとりあえず二冊。

★こっちはもう通販では扱われてないようですが、こないだ本屋さんで見かけたから本屋にいけばまだあるかも。



★こっちはまだ通販での取り扱いがあるようです。

ナイルに生きる人びと
山川出版社
片岸 直美


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