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zoom RSS ファラオで学ぶ経済用語(仮) "でふれ"

<<   作成日時 : 2018/05/10 00:10   >>

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というわけで、何か思いついたので試しにやってみました。
「でふれ」とか「でふれ すぱいらる」とかゲームの技名みたいな用語あるけどよくわからんわ、って人のためにファラオで説明できるか試みたいと思う。

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ファラオです。
画像


ファラオは部下に麻布10枚でお給料を支払うことにしました。
部下はその麻布で麦を買うことにします。ですが麦の値段は年毎に違います。

麻布 1枚 = 麦 2杯 の時と、
麻布 1枚 = 麦 10杯 の時、どちらがお得でしょうか。

ファラオの部下からすると、 麻布 1枚 = 麦 10杯 のほうが断然お得ですよね。
当然ながら、ファラオの部下は麻布1枚で交換できる麦が多いほうがいいと思っています。



ところで、逆に麦を作っている農民のほうから見るとどっちがお得でしょうか。

麻布 1枚 = 麦 2杯 の時は、麦10杯あれば麻布5枚もらえます。でも、
麻布 1枚 = 麦 10杯 の時は、麻布1枚にしかなりません。

ということは、農民からすると 麦2杯で麻布1枚がもらえるほうがいいわけです。


麻布1枚 = 麦2杯 だと高すぎるのでファラオの部下は麦を買いたくない。

 ファラオの部下「そんな値段だとこの給料でメシを食ってくのは無理だ!」

麻布1枚 = 麦10杯 だと安すぎるので農民は麦を売りたくない。

 農民「こんな値段じゃオラたちの生活が成りたたねぇだ!」


なので実際は、中間をとって 麻布 1枚 = 麦 5杯 あたりで妥協することになります。これが市場原理というやつです。現代の商売も、「このくらいの値段なら買ってもらえる/売っても損にならない」という買い手と売り手の妥協点を実際の値段につけます。


古代世界の場合、ファラオの部下だけ得をする値段で売り買いをつづけた場合、農民は生活が成り立たないので逃亡してしまいます。
農民だけ得をする値段で売り買いをつづけた場合、ファラオの部下はおなかがすいて蔵を打ち壊し、麦騒動が発生します。

現代の場合、消費者が安く買い叩き続けると、生産者が倒産したり、その商品が売られなくなったりします。
生産者が高く売りつけすぎると、消費者は代替品に走ったり、その商品をあまり買わなくなったりします。
どっちも結果的に自分の首を絞めるんですね。

というわけで、ファラオの部下か農民、どちらかがー方的に得をする値段ではなく、適正な価格で売り買いをするのが望ましい、ということが判ったかと思います。


ここで、経済ニュースによく出てくる実質賃金という単語を説明します。実質賃金とは、"労働者が労働に応じて取った賃金が実際の社会においてどれだけの物品の購入に使えるかを示す値" のことです。つまり、ここで言う麻布10枚の給料が麦何杯になるか、ということ。

これまでに見てきたように、麻布10枚で交換できる麦の量が多ければ多いほど良い、というわけではありません。。大事なのは、適正価格(今回の場合は麻布10枚=麦50杯)であることです。なので、「実質賃金が下ったから景気が悪化している!」と騒ぐ人は、そもそも用語の意味が分かっていません…。単順にこれが上がったか下ったかだけでは、景気については判断出来ないのです。




ではここから、デフレとはどういう状態なのかを同じファラオの部下で書いてみます。
麻布1枚 = 麦 5杯 が現在の適正価格です。

ファラオは農民の麦の収穫から税収を得ています。麦の収穫量は、ファラオが支配している土地の広さに比例します。

世の中が平和だった普段の年は、 麦1500杯 が税収として手に入ります。麻布にすると300枚です。
けれどとある州が氾濫を起こして離反した年には、 麦500杯 しか手に入りませんでした。麻布にすると100枚です。

ファラオには部下が10人います。一人あたりのお給料は最初に書いたとおり麻布10枚です。
ということは一年に麻布100枚の支払いが必要になります。

豊作の年は、お給料を支払っても 麻布200枚 が余ります。
しかし不作の年は、お給料を支払うと 麻布が余らず、お給料を支払うとファラオの分がなくなってしまいます。
そこでファラオは、不作の年には部下のお給料を 麻布9枚 に減らします。


ファラオの儲けが少ない = 部下の給料が下る ということです。

給料が下ってしまったファラオの部下は、いつもより交換できる麦が少ないので少し食べる量を減らそうと考えます。
麻布10枚もらえていた頃にはそのうち5枚を麦との交換に出していたのですが、今年は9枚しか貰っていないので4枚だけを交換に出します。
すると麦をつくっている農民は、いつもの年より手に入る麻布が少なくなってしまいます。

ファラオの部下10人分で考えると、普段の年は50枚手に入っていたのが40枚に減ったということです。

ここで農民が普段の年と同じだけ手に入れる方法として選んだのは、「麦の価値を下げる」でした。
いつもなら 麻布1枚 = 麦 5杯 なのですが、 麻布1枚 = 麦 8杯 にして、いつもよりお得だから麻布5枚支払ってくださいよ! とアピールするわけです。これなら給料が減ってしまったファラオの部下も、いつもの年どおり麻布5枚を麦との交換に出してくれるかもしれません。

しかし農民のほうからすると、

普段の年 麻布50枚 = 麦250杯
今年    麻布50枚 = 麦400杯

なので、いつもよりかなり損していることになります。農民は「麻布1枚=麦10杯」まで値段が下ると生活が出来ません。麦の価値を下げて、麻布1枚 = 麦 8杯 にしてしまうのは、短期ならともかく、長く続くと農民の生活がどんどん苦しくなってしまうマズいやり方なのです。

そして、もし値段を下げたにも関わらずファラオの部下が交換に出す麻布が4枚のままだったとしたら、農民は農業で生活を立てることができなくなってしまうかもしれません。


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これが、よくあるデフレ状態です
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単に「デフレ」といった場合、モノの価値が下がることなので、「麻布1枚 = 麦 5杯」から「麻布1枚 = 麦 8杯」になることを意味しますが、それと連動して誰もが損をする連鎖反応が起きていることが判ったかと思います。


ファラオの収入が減る → ファラオの部下の給料が減る

ファラオの部下の給料が減る → 農民のもうけが減る

農民のもうけが減る → 農家が倒産する

農家が倒産する → ファラオの収入が減る

<<以下ループ>>

このループが「デフレスパイラル」
いったんループに入ると抜け出すのが結構大変です。

古代世界の場合は、ファラオが部下への支払いを一時的に止め、離反した州を取り戻すための戦争を始めました。勝利すれば部下への成功報酬の支払いが出来るのでファラオは安泰ですが、失敗すると部下から猛反発を食らって首が危なくなります。果たしてこのファラオはどちらになったでしょうか…。


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というわけで、ファラオで説明してもそこそこイケたような気がします(笑)
経済ニュースを見るときは、こんなかんじで注意してみるといいかと。


・実質賃金はデフレ状態になると見かけ上は上がるため、この数値だけでは景気判断は出来ない

・モノが安く買える = 生産者が利益を出せていないということなので、安すぎる価格が続くと景気が悪化している。長く続くと倒産(古代の場合は農民の逃亡)が相次ぐ。

・一般的な動きとして、会社の収入が上がる = 給料が上がる、会社の収入が下る = 給料が下る
 景気を良くするにはまずファラオが儲けを出していないとムリ。


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経済や経済用語は、ふだん暮らしてる分にはあまり使わないしニュースで見るけど内容はよくわかってない、って人もいるかと思う。でもね、古代オリエント世界の歴史を見る上ではすごく大事な視点なんだ。交易やってない文明圏はほぼ無いからね。

現代にも使われている経済の概念があると、メソポタミアはろくな資源がないので交易をしない文化の維持が出来ない、とか、エジプトは資源をたくさん持ってるので交易意識が弱いまま大国になってしまった、とか、アッシリア商人が早くからアナトリアまで遠征していたのでメソポタミアとアッシリアは強い繋がりがあった、とか、単に言葉でザックリ書かれている内容を、もう少し具体的に考えることが出来るようになる。

たとえば、メソポタミアからの輸出が麦で、インドからの輸入がカーネリアンだったとする。麦200でカーネリアン1が輸入できるのと、麦400でカーネリアン1が輸入できるのは、どちらがお徳なのか。買い叩きすぎるとインド側はもう輸出してくれなくなるかもしれないし、高すぎるとメソポタミア側は輸入をやめてシナイ半島のターコイズを欲しがるようになるかもしれない。

商売のルールは古代に比べて現代のほうが複雑だけど、基本部分は同じなので、応用できるところも少なくないと思うのです。

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