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zoom RSS 古代エジプト絵でよくある幅広の首飾り、実は言うほど身につけてなかったかもしれない

<<   作成日時 : 2018/05/25 00:10   >>

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幅広の首飾りっていうの↓こういうやつですね。
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古代エジプト絵にはよく描かれているやつで、壁画でも棺のフタでも高確率で出てくるのできっと高位の人はみんな身につけていたんだろうと思っていた。でも実際はどうもそうじゃなく、副葬品専用に作って棺に入れていたものが結構あるんだという、ちょっと面白い論文を発見した。

エジプト中王国時代における襟飾りの副葬 : 図像表現との比較から見た副葬品選択の一側面
https://ci.nii.ac.jp/naid/40020844697

これとほぼ同じ内容が載っていてWeb上でアクセスできるやつ

図像資料からみたエジプト中王国時代の装身具研究序論
http://www.egyptpro.sci.waseda.ac.jp/pdf%20files/JES22/13_Yamazaki.pdf

エジプト中王国時代の「宮廷タイプ(Court type)」の埋葬という枠組みについて
https://www.waseda.jp/flas/glas/assets/uploads/2018/03/Vol63_YAMAZAKI-Seria_0683-0710.pdf

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まず、幅広の襟飾りは棺のフタには頻繁に描かれるわりに、実際の出土例があまりなく、出土しているのは王族の墓と思われるところだけで、身分が下る人の墓では棺には描かれるけど実物がない、という。つまりこれ、中王国時代には身分を示すかなり重要な装身具、古代日本でいうところの衣冠の作法みたいな扱いで、棺の絵に描くのは身分が低くてもまぁOKだけど、実際に副葬品として墓に入れていい階級はこれ以上、と決まってたんじゃないかと。

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さらに、実際に出土している王族の墓の場合でも、首飾りに実用性がない(=首の後ろに垂らす重りをつける穴がない)ものがほとんどだという。
幅広の首飾りは重たいので、つりあわせるために背中側に垂らす重りがないと前にズリ落ちてしまい身につけることができない。なので重りをつける穴がなければ、身につけていない、副葬品専用に作られた品だと判断できる。

これを読んで、「どおりで絵でよく見るわりに実物が少ないわけだよ…!」 と合点がいった。身につけるにしては重量がヤバい黄金を使用した豪華な首飾りの存在する理由も解った。ミイラの上に置くだけだからだ。生きた人間が身につけてウロウロするわけじゃないから重さまで考えてデザインしなくていいんだ。あと、実用品としての意味合いが薄かったのなら、ビーズを繋ぐ糸が切れたら大惨事になりそうだなとかも心配しなくて良さそう。


この論文は中王国時代に絞って書かれているので新王国時代以降がどうだったかは別の話になってくるのだが、仮にこの幅広首飾りを実用する割合が上がってたとしても、たぶんそんなに頻繁には身につけなかったと思うんだよな。いやーー…重いってアレ…。実用品のほうは軽くするために金の比率を下げてました、とかならまだ何とかいけそうな気がするんだけど。



というわけで、「図像に描かれた姿と、実際の生活で使ってたアクセサリーの使用状況は異なる」という話。古代エジプト人のファッションの研究って、墓の壁画とか棺の装飾からしか見られていない面は確かにあると思う。そこに描かれたのは理想像や儀礼用の格好に過ぎず、日常生活では大きく異なっていたかもしれない。

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