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zoom RSS ツタンカーメンの副葬品の鎧に使用痕があるから、戦った王だったに違いない!→その根拠はありません

<<   作成日時 : 2018/04/05 00:10   >>

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うんまぁいつものツッコミなんだ、夢を見たい人にはすまない。
だが古代の人とはいえ毎回毎回、乏しい証拠で誇大妄想的な人生のストーリーをデッチ挙げられてるのは失礼すぎると思うんだ。なので書いておく。

病弱な少年王のイメージをくつがえすツタンカーメンの鎧!調査が本格化
https://www.discoverychannel.jp/ja/d-news/king-tut-and-his-leather-armor-180327.html

というわけで、ツタン様の副葬品の皮鎧を調べてみたら使用した形跡があったので、きっとこの王は戦場に出て戦ってたに違いない!と盛り上がった人たちがいたわけですが、その結論には無理があります。

例によってLive Scienceとかのマジメな解説サイトとかだと「そういう話ちゃうんですけど…」とツッコミ記事になつてますね。まぁそりゃそうだ。

King Tut, the Boy Soldier? Here's What Other Stories Aren't Telling You.
https://www.livescience.com/62170-king-tut-boy-soldier-explained.html

画像



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■このテの報道を見た時の鉄則事項■

「何が」確実で、「どこからが」不確実なのかを厳密に切り分けること。
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一般向けメディアは、学者さんがリップサービスで「もしかしたらこうかも」とか言っちゃった内容に尾ひれつけまくって出してくることが多いので、できるだけ一次ソースに近い場所から、どこまでが事実でどこから空想なのかをキッチリ調べるのが必要になります。

今回の場合は以下のような感じになります…


@ツタンカーメンの墓の副葬品であった皮鎧を調査した →確実

Aその鎧はツタンカーメンの着用したものである →不明 ※ただし、墓から出ているほかの衣類は本人のものの可能性が高いため、これも本人が着ていたと考えることは出来る

B鎧には使用痕がある →不明 ※古代のものなので痛んでいるのは当然。また出土品として元々の状態が良くない。果たして検出されたものが「使用痕」なのか「単なる劣化」なのかの検証は必要

C鎧が使われた場合、それは戦場だったはず →不明 ※儀式などで来たかもしれない

D戦場で鎧を着たなら本人も戦ったはず →不明 ※そもそも証拠も何もないただの空想だが、もし仮に本当に戦場に出ていたとしても本人が戦う必要はなく、むしろ後方で指揮してたほうが可能性としては高い。



…と、まぁ、このようにA、B、Cと空想を重ねた上でDの結論を出してきているので、この結論には根拠なんてなんもないな、と分かります。

ツタンカーメンは少年王にして戦士だった!! なんていうのは、「そうであってほしい」という期待を込めた空想に過ぎないです。ツタンカーメンのミイラの調査で、肋骨部分がミイラ化されるときに取り去られているということ、大たい骨に骨折らしき跡があることなどから、「戦車から落ちたのが死因では無いか」という説があります。その説を前提として、「ツタンカーメンはアグレッシブな王だった」という仮の前提に沿って目の前の事象を都合よく解釈した結果っすね。

これをやると、考古学は乏しい物証からいかようにもストーリーを描き出せるオカルトになってしまい学問ではなくなるので、絶対やっちゃいけないやつです……。


ちなみに全く逆に「ツタンカーメンは身体障害を持った陰気な王だった」という仮の前提に沿って解釈された説も存在します。そちらは、副葬品に入っていた杖に使用痕があることから、杖に頼らなければ歩けなかった足の不自由な王だった、と推測しています。また、副葬品のパンツ(ふんどし)がデカかったことから、尻の大きな肥満気味の王だったはず、とも。


つまり、最初に想定した「設定」どおりに解釈しようとすれば、どの答えも正解に「できてしまう」ということです。
逆に言えば、こうした空想に空想を重ねる方法で出される結論は、どれも間違っている可能性が高いということです。
お分かりいただけましたでしょうか…。


小説やマンガのネタとしてはいいんでしょうけど、まぁ、私はこういうオカルトと大差ないやり方で故人を弄ぶやり方は好きでは無いです。

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