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zoom RSS 植物考古学から見た古代のお酒の話/成分だけだと酒かどうかが分からない

<<   作成日時 : 2018/04/26 00:10   >>

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植物考古学ってなんやねんという話だが、要するに、発掘で出てきた古代の植物組織を分析する学問である。
壷が出てきたとして、その壷の中に残ってる炭化した種のようなものはイネなのかムギなのか、とか。
木片が出てきたとして、それが何の植物なのか、とか。そういうの調べるジャンル。
(ちなみに同じように遺跡から出てきた古代の人骨や古代の動物骨を専門に調べてる人もいる)

で、その植物考古学の論文で、ちょっと面白いのを見つけた。

物考古学からみた古代の酒 (特集 古代西アジアの酒)
https://ci.nii.ac.jp/naid/40020844605/

ざっくり言うと、「植物の成分は検出できるが、その成分の意味するところまでは植物考古学だけからでは分からない」。

たとえば、古代のワインづくりの根拠として挙げられる酒石酸という成分は、ワイン特有の成分ではなく、ビネガーやジュースの入っていた壷からも検出される。また、西アジアで古くからよく食べられていたサンザシの実にも多く含まれるため、壷の中身がブドウだつたことすら特定できないという。しかも水に溶けやすい成分なので、土中にあるうちに別の場所から染みこんできたものが付着した可能性が捨てられない。

酒石酸を根拠に「この遺跡では既にワイン製造が始まっていた」と結論づける論文はいくつか見たことがあるが、実は、証拠としては不十分なのだ。

ビールの場合も同じで、シュウ酸カルシウムの検出を根拠としてビール作りが行われていたとすることがあるが、ホウレンソウやルバーブの仲間にも含まれるため、壷の中身がビールだったとは限らないという。

こうした、「証拠として十分とはいえないのに、成分検出だけで結論を出している」というケースに対するツッコミに、なるほどと思った。最初から、ワインなりビールなりが「造られていた」ことを仮定して、その仮定に会う証拠を探して当てはめているわけだから、間違えている可能性を排除できない。成分の検出だけでは、本来は、ぼんやりとした「あったかもしれない」という可能性までしか辿り着けないはずなのだ。これを忘れると、結論ありきで書かれたとんでもない論文に騙されてしまう。

何が確実に分かるとこで、どこからがはっきりとは言えない仮説なのか。
科学的に分析するとはどういうことなのか。

これは、忘れちゃいけない大事なことだと思う。

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