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zoom RSS GPSで道迷いは防げない/道迷いからの生還は保証されない。ツールの正しい使いどころについて

<<   作成日時 : 2018/02/17 00:10   >>

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タイトルどおり登山におけるGPSのポジションと、登山で起こる道迷いを防ぐにはどうしたらいいか、という記事。

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「GPSがあれば道迷いを無くせる(減らせる)」という意見を見たんですが、それは無理。何故かというと、GPSに出来るのは現在位置を知ることだけで、道迷いになる人は現在位置が分からないから道に迷っているわけではないからです。

私もGPSは持ってますし使いはしますが、ぶっちゃけ山でのGPSは地図ほどは役にたたない補助ツール。このツールでは道迷いは防げません。ただし、使い所さえ間違えなければ十分有益と考えます。

というわけで、順を追って説明します。


◆「道迷い」は結果の一つであり、原因は判断ミス

山岳事故でいちばん件数の多い「道迷い」。しかし、登山本やヤマリコ実体験などの実際の例から見るに、いきなり道に迷う人はほぼいません。最後の最後まで道を間違えていることに全く気づいていないことも稀にありますが、大抵「あれっ、なんかおかしいな」と早い段階で気づいています。その「あれ」っの時点で立ち止まって、正しい判断を下せていれば、深刻な道迷いに至ることは無いんです。
そのまま歩き続けてしまい、しかも歩く方向を間違えたときに遭難に至る道迷いが発生する。つまり、大元となる原因は判断ミスです。

自分も、初めて行くルートなんかだとよく枝道に突っ込んで「あれっ」となります。そのたびに、確実にルート上にいた場所まで引き返す。道に迷うことは誰でもあるけれど、そこから正しい判断をして道に戻れるか、戻れないかが「遭難する」か「遭難せずに済む」かの分岐点だと思っています。

ちなみに、滑落や負傷など他の山岳事故の多くも同じく原因は「判断ミス」で、原因から生じる結果が異なっているだけです。
ということは、この原因をどうにかしないことには、道迷いは減らせないのです。



◆GPSで現在位置が判った後に下す「判断」の重要性

さて、GPSは現在位置を知るためのツールです。
スマホに入れるアプリでも、専用の道具でもいいんですが、使ったことがある人は判るとおり画面上に地図と、自分の現在位置が表示されます。

重要なのは、現在位置を知ることは出来ても、ルートナビゲーションはしてくれないということです。
つまり、どちらに向かうのか、これからどうするのかといった行動は、自分自身が判断する必要があります。

…ここで、最初に書いた「道迷いの原因は判断ミス」ということを思い出してください。そう…すでに致命的な判断ミスをしてしまった人が焦りながら次の判断を下すわけです。その判断も間違えてしまったら、当然の如く状況は悪化します。

たとえば、道迷いでGPSを使い、以下の赤い★の場所にいることが判った場合、自分はどうすべきでしょうか。
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尾根上には小屋があり、決してなだらかではないですが、登りさえすればとりあえず尾根上の登山道には出られます。正しい脱出方法は「尾根まで登って登山道に出る。その時点で残りの体力や水食料に不安があれば小屋に宿泊する」です。これなら死にません。

ところが、判断ミスをする人は、地図の下の方に車道が見えていることに安心して、「川沿いにいけば水が尽きることもない、食料に余裕もあるし下ってみよう」などとそのまま下り続けてしまうのです。そして途中で滝にぶちあたって進めなくなり滝つぼに滑落、といった事故が発生します。このパターンは元々予定していたルートからも大きく外れていて、捜索が難航してなかなか見つからないやつです。
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このように、道迷い後にGPSで現在位置が判ったとしても、必ず事故が防げるとは限りません。事故を防げるか防げないかは、現在位置が判ったあとに下す判断次第です。もちろん、現在位置は正確にわかるので、一歩もそこから動かず救助を待つというのも一つの選択肢です。ただし救助隊はピザのデリバリーではないので、呼んですぐ来てくれるものではないことに注意が必要ですが…。



◆「判断ミス」という原因の先にある真の原因は、たいてい準備不足

では、どうしたら道迷い遭難を防げるのか。

そもそも判断のためには情報がないとだめです。道迷いに気がつくのは大抵、「この道はこんな急角度ではなかったはず」とか「30分も歩けば川に出るはず」といった前情報と現状が合わない時です。つまり自分が今日歩くルートを分かってないと気づけません。また、道に迷ったあとどちらに向かえばいいのかを判断できるのも、例に挙げた「ここに小屋がある」といった情報のお陰です。

バリエーションルートならともかく、一般登山者の立ち入る山であれば事前に詳細なルート情報は手に入ります。地図にも載ってるし、歩行時間の目安や目印まで書いてくれていたりします。それが頭に入ってさえいれば、たとえ道を間違えても早い段階で気づくことが出来るし、迷ったあとでも自力でリカバリ出来るんです。

ちなみに、今までに山中で出会った「道迷い」の方々は、ほぼ100%、事前にルートの確認をしていませんでした…。

(1)晴れてきたので急遽足を延ばして隣の山を通って帰ろうとしたらマイナールートに入り込んでしまった
(2)疲れてきたので山頂を諦めて下りの道を選んだが谷に迷い込んでしまった
(3)日没までに下れそうになくて慌ててルートを外れて車道に下りてみたが、バス停が分からない

etc.

これらの方々にGPSを渡したとして、果たして、この状況は事前に回避できたのか。
現在位置は判るでしょうが、そこからどうすべきか、正しい判断が出来るかどうかは別の話です。

(1)の方は、マイナールートを無理に歩ききろうとして途中で体力が尽きるかもしれません。
判断分岐:今の自分の残体力と残り行程に必要な体力を見積もれるか

(2)の方は、やみくもに谷を下って滑落するかもしれません。
判断分岐:谷の傾斜と、谷は歩きづらいということを経験上知っているか

(3)の方は、バス停目指して一直線に進んでしまい、登山ルートを大幅に外れた歩行困難箇所でハマってしまったかもしれません。
判断分岐:向かおうとしているルートの地形を地図上で読み取れるか

GPSがあったとしたら、状況が悪化していた可能性もあるわけです。道迷い遭難はGPSで解決できる問題では無いことが判ると思います。

すべきことは「登山計画をしっかりたてて、事前準備する」です。

昔から言われていることのままですね。登山計画書を提出する必要は必ずしもないと思いますが、計画書は作りましょう、自分の歩くルートのことは知っておきましょう、と。出来れば、途中で体調不良になった場合などのエスケープルートまで考慮しておくとベスト。そうすれば、判断ミスも減るはずです。



◆GPSが役に立つ場面とは

先に書いたように、GPSは現在位置が判ったあと何をするかという判断次第なので、使いどころさえ間違わなければ非常に役に立ちます。視界不良やトレースのない雪山で残距離などコースのアタリをつけるとき、あるいは自力リカバリ可能な人が現在位置を完全に見失っているとき、遭難者を見つけて救援要請をするのに現在位置を正確に伝えたいとき、など。もちろん、自分が谷に滑落したなどで救助を要請したい場合も、GPSがあるとスムーズに救助してもらえるはずです。

特に、事故が発生した後の救援要請のためのツールとしては非常に優秀だと思っています。なにしろピンポイントで位置を伝えられますから。

というわけなので、登山におけるGPSの立ち位置は、道迷いなどの事故を防ぐためではなく、「もしもの時の命綱」というのが妥当なところだと思います。

GPSは使えたほうがいいし、一度は山で使ってみるべきだと思います。スマホアプリなら簡単に導入できますし。(その時に電池の減りも体験しておくといいかと。)

あと、GPSに表示されるのは地図なので、そもそも地図読みスキルがないと何も出来ないということもお忘れなく……。


*****

ここでは「道迷い遭難を防ぐにはどうしたら」という観点から書きましたが、正直、人の多いメジャールートはそもそも地図もGPSも必要性薄いです。迷いようがない。地図読みスキルなくてもそうそう死にゃしません。
ただ、低山でも遭難者、行方不明者は毎年出ているので、もしかしたら自分もそうなるかも、という危機感は忘れないで持っていたいものです。ていうか、何が起きるかわからんのが山なんでイザというときの備えは多い方がいいんですよね。装備過多にならない範囲内で。

<おまけ>

最近流行り(;;)のプチ遭難。歩き始めた時点で遭難してるとか言われる理由を説明する
http://55096962.at.webry.info/201704/article_4.html

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