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zoom RSS メソポタミア文明は塩害で衰退したか/その深刻具合を数字で確かめてみる

<<   作成日時 : 2017/12/02 00:10   >>

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発端>> 麦ってあんまり塩に弱くないはずなのにそれすら育たなくなったメソポタミアってヤバくねぇ? という会話


ここまでの前提として以下を参照のこと

人類の農耕の歴史は常に塩との戦いだった。…日本以外。
http://55096962.at.webry.info/201512/article_6.html

現代農業×中米古代文明崩壊/塩害がもたらす文明衰退ストーリーを考える
http://55096962.at.webry.info/201707/article_11.html

簡単にまとめると。

・雨の少ない地域で農耕を行うと、土地に与えられる水 < 蒸発していく水 になり、地下水が地上に上がってきてしまう
・これを防ぐために灌漑を行い、休耕期に畑に水を入れて地下水を下げる必要がある

・かつて海だった場所(メソポタミアなど)の地中には多量の塩分が隠れている
・おまけに雨も少ない

・メソポタミアでは、灌漑が不十分だと、多量の塩分を含んだ地下水が上昇して、いずれ農業が出来なくなる。

 → なっちゃった。


シュメール・アッカド地域、つまりメソポタミアの南部では、時代が進むごとに土壌の塩害化も進み、最終的には塩分に強い大麦しか栽培できなくなり、その収穫量すらふるわない状態になっていった。ということは、土壌の塩分は相当上がってたんじゃないのかと。

というわけで主要作物の耐塩性(どのくらいの塩分濃度までいけるの?)を調べてみたところ、驚くべきことがわかった。
大麦の耐塩性は「極強」であり、味噌汁の濃度まで耐えられる。

画像


表の数値は、1リットルあたり何ミリグラムの塩が入っているか、というもの。
1リットル=1000グラム
5000ミリグラム=5グラム

1000グラム中に塩が5グラム=塩分濃度は0.5%=一般的な味噌汁の塩分濃度。

冷蔵庫の中でちょっとカピカピになって白く塩を吹いているお味噌を想像してほしい…大麦しか育たない畑って、そんな感じになってるはず…。
そして、大麦と小麦の間にはやはりそれほど差はなかった。確かに大麦のほうが塩に強いようだが、デューラーコムギは0.4%まで耐えられる。大麦と大差ない。

つまり大麦ですら減収になる時点で、メソポタミアの畑の塩分濃度は0.5%以上になっていたはずで、現代基準でいうと相当深刻な塩害になっていたと言える。

収穫量が減る→人口が減る。しかしそれでよくて、人口が減って畑が減ればそのぶん作付け面積が減り、休ませて灌漑で塩分を洗い流す時間が出来る。こうして失敗しながら、輪作や休耕のサイクルが編み出され、その土地で養える適正人口に近づくというわけだ。



ちなみに、この「農耕で土壌の塩害がー」という悩みは世界中の農耕地が抱えている。
が、日本は雨が死ぬほど降るので、まずもって「土地に与えられる水 < 蒸発していく水」という状況が起こらない。(1ヶ月単位でみればあるが、そんな短期間では影響が出ない)

農耕を開始したときから人類が戦い続けてきた宿命的な土壌の塩の問題がほとんど表面に出てこないのは、むしろ珍しい環境なのかもしれない。


*参考
植物の塩耐性について
https://jspp.org/hiroba/q_and_a/detail.html?id=578

*農耕と塩の資料は以下の本
塩の文明誌 人と環境をめぐる5000年 (NHKブックス)
NHK出版
佐藤 洋一郎

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