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zoom RSS 古代エジプト伝説の女王ニトクリス、虚構と伝説

<<   作成日時 : 2017/10/08 00:10   >>

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前置きとして、「第6王朝の女王 ニトクリス」という人物は実在しない。

「しない」と言い切っていいのかと言われると、「現在のところ実在する証拠が何もない」「実在しないと考えることが妥当」と言い換える。とにかく実在する可能性はとても低く、後世に作られた(勘違いなどから生まれた)存在だというのが現在のところもっとも妥当と思われる結論だ。

これに対し、実在したエジプトの王族「ニトクリス」も何人か存在する。が、そちらは第6王朝ではなく第26王朝(前7世紀〜6世紀)のほうである。
つまり「第6王朝の女王ニトクリス」は伝説上の人物なのだが、「第26王朝のニトクリス王妃」や「ニトクリス王女」は歴史上の人物なのだ。

なお、「ニトクリス(Nitocris)」はギリシャ語読みでの名前。エジプト語読みでは「ニトイケレト」となる。
現在知られているニトクリスという名前は、ヘロドトスやマネトーによるギリシャ語読みの名前である。


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この女王の名前は、史料としてはヘロドトスの「歴史」の中に出てくる。(巻の2/100〜)
全文引用するのが面倒くさいので適当にスキャンした、ちゃんと読みたければ図書館で借りるか本を買ってくだされ。

画像


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ザックリとまとめると、「王の姉妹であった土着の婦人」であり、ヘロドトスが聞いた三百三十人の王の中で唯一の女王だったことになっている。暗殺された兄弟の仇を討つために地下室に殺害者たちを招いて宴を開き、川の水を引き入れて全員溺死させたあと火の付いた部屋の中で自殺したという。ハトシェプストも女王だったんじゃない? とツッコみたいところだろうが、彼女は非公認の王のため神官たちが会えて話さなかったか、記録から抹消されていたか、あるいは聞いたけどヘロドトスの記憶に残らなかったので特に書き留められなかったかだろう。

かつては第6王朝の最後の王、メルエンラーの姉妹だったと考えられていたのだが、それにしちゃ考古学的に実在した資料が一切出てこない。記録が抹消されているという説もあったが、だとするとエジプトの神官がヘロドトスに語るはずがないのでおそらく違う。またマネトーの記録ではギザに第三のピラミッドを作ったことにもなっており、どうも伝説が色々まじってて信用ならない感がある。というわけで、今ではこの女王は「おそらく実在しないだろう」という結論になっている。

ヘロドトスの生きた時代に近い第26王朝の「ニトクリス」は実在が裏付けられているので、実在した人物の話に何かが色々混じった結果、勘違いから生まれてしまった伝説なのだと思われる。。ヘロドトスが「ニトクリスの名はバビロンの女王のそれと一致し」と書いていることから、同時代のバビロニアの誰かと混じってしまった可能性も示唆されている。


ちなみに、かつてニトクリスの実在が信じられた理由の一つに、歴代の王名を記した長大なリスト"トリノ王名表"の第6王朝の最後の部分にニトクリスのエジプト語名である「ニトイケレト」に似た記述があったということが挙げられる。
しかし解読が進んだ結果、実際に書かれていたのは「ニトイケレト」ではなく「ニトイケルティ(Neitiqerty)」だったと判明。これは明らかに男性名である。そのため、現在では次の王朝のファラオ名と判断されている。つまりトリノ王名表では、第6王朝と第7王朝の王名の間にニトクリスの入る余地はない。
ただし、もしかすると、エジプト人自身、王名表のニイトケルティの部分をニトクリスと混同していたのかもしれない。

まあ何しろ、第6王朝の頃から第26王朝の頃までで1,500年くらい経ってますから…。
日本だって、今から1,500年前のことなんてぶっちゃけ記録も限られてるしよくわかんないとこありますからね…。むしろそんだけ王名の記録が残ってるだけでも凄い。




というわけで、彼女はおそらく実在はしない。
実在はしないのだが、伝説の元ネタが完全に分かっているわけでもないので空想を膨らませ放題で二次創作とかに使いやすい、ミステリアスな存在でもあると言えるだろう。


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資料として: 実在した第26王朝のニトクリス

1/
プサメティク1世の娘、ネカウ2世の姉妹で、アメン神の<神妻>となったニトクリス1世。テーベの主神アメンの巫女に就任したことで、第26王朝(下エジプトのサイスが首都)と、ナイル上流の神官国家の首都テーベとの結びつきを強めることになった。アメンイルディス2世の養子となったことが碑文から知られている。即位名として「ネベトネフェルウムト」を持つ。

2/
アハモセ2世の娘(?)のニトクリス2世。アメン大司祭をつとめ、のちに<神妻>の役職に就くはずだったがペルシアのエジプト進攻により着任出来なかったとされる。兄弟とされるプサメティク3世はペルシアに逆らったため処刑されている。

二人とも、部分的にヘロドトスの書く「女王ニトクリス」に似ているので、このあたりに何かが色々まじって、伝説が誕生したのではないかとも思われるが…。

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