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zoom RSS 水中遺物: テクシン号からの陶磁器に纏わる嫌疑

<<   作成日時 : 2017/09/12 00:10   >>

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「水中文化遺産」という本があったのでちょっと読んでみた。

水中文化遺産: 海から蘇る歴史
勉誠出版

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日本で水中考古学(水没した遺跡や水中に作られた遺構、沈没船などを扱う)をやってる有名どころの先生たちが寄稿したアンソロ形式の本になっていて、論文集という感じ。内容はお堅い感じで、一般読者向けではない。あと書いてる人によっては文章が読みづらい。一人一人のページ数がそんなに多くないので、ひとつの話題に対するツッコミも浅め。元となる基礎知識を持った上で読まないと面白くないやつだな…と思った。


そんな中で引っ掛かってきたのが、『「テクシン・カーゴ」への嫌疑』と題された章である。

これは「テクシン号」と呼ばれる沈没船から引き上げられたカーゴ(積み荷)のこと。
沈没は1822年、出港地は中国のアモイ、到着予定地はインドネシアのバダヴィア(現在名でジャカルタのこと)。
ここから引き上げられた37万点にも及ぶ陶磁器のコレクションは、2000年11月にドイツのオークション会社によって大々的に宣伝され、売りさばかれた。

――が、この陶磁器コレクション、実際はオークション会社の謳ったような積み荷ではない可能性があるのだという。


・陶磁器の時代がバラバラ。1822年以降のものはないが、それ以前で時代が離れすぎているものが混じっている
・一隻の船に積むことは不可能な分量。そもそもテクシン号と呼ばれている船は移民船で人間が主な積荷なので、陶磁器を積んでいた可能性自体が低い
・"テクシン"という船の名前がどこから出てきたか分からない。1822年当時のアモイの船としては考えにくい名前

というわけで、このコレクションは実際は「1822年に沈没したテクシン号」から引き上げられたものではなく、サルベージャーが見つけた複数の沈没船のコレクションをまとめて売りさばくために合体させたものなのではないか、という。

考古学的な発掘調査と違い、トレジャーハンターのやる「宝探し」には、それぞれの遺物がどのような形で、沈没船のどこから見つかったのかといった詳細な記録は存在しない。要するに主張したもん勝ちの世界である。この「テクシン・カーゴ」についても、実際は、同じ海域に沈んでいた複数の名もなき船から取り出した「売れそうなモノ」の山に売れそうなロマンのあるストーリーを絡めて儲けようとした、というところなのだろう。


ちなみに、このテクシン号から引き上げられたという陶磁器セットは、日本でもわりと簡単に見つけることができる。
何しろ37万点が世界中のコレクターにバラ撒かれたわけなので…。ふつーにオークションに並んでますねコレ。

画像


陶磁器としては本物なんだろうし、年代も鑑定に間違いがなければ17世紀〜19世紀のもので特定可能なんだろう。だがこれらの出所が「テクシン号」という沈没船なのかどうかは怪しい。その意味で、学術研究に使いたい場合は注意が必要だし、トレジャーハンターが学問に貢献したとは言いがたい。

というか、トレジャーハンターが発見した遺物のストーリーは、基本的に信用ならんと思ったほうがいい。
金儲けのためにロマンを作り出すのが彼らの仕事だからね…。


*****
【オマケ】

海賊キッドの船発見→やっぱり誤報でした(テヘペロ)までは想定内。問題はそこからだ。
http://55096962.at.webry.info/201508/article_5.html

コロンビアでスペインのガレオン船「サン・ホセ号」が新発見!→実は1982年にもう見つかってた
http://55096962.at.webry.info/201512/article_7.html

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