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zoom RSS モロヘイヤはファラオの病を癒した草…? 良く分からない説が飛び交っていたので確認してみた

<<   作成日時 : 2017/08/15 00:10   >>

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【発端】
モロヘイヤは「王家のもの」という意味でかつてファラオの病を癒したことからそう呼ばれた、という説を見つける。


…う、うん。
まああの…じゃあとりあえず…どのファラオを指して言ってるか教えてくれるかな?(´・ω・`)

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検索してたくさん出てくるからといって真実では無い、というのは毎回の検証ネタでも言ってるお話。
現在世の中に出回っている、古代エジプトの時代からモロヘイヤが利用されていたはずという説は、すべて「たぶんそうだろう」という推測のもとに述べられていて、具体的な根拠に一切触れられていないです。たとえば、「エジプトのファラオの治療に使われた」という説を述べているソースのいずれも、何という名前のファラオなのかすら挙げることが出来ていませんでした。それじゃあ根拠にはなりませんよね。

なので根拠を探しに行ってきました。
結論から言うと、

 ・古代エジプト人が、現在モロヘイヤと呼ばれる植物を食用としていたソースは存在する

 ・しかし薬用として利用された証拠は見つからない

 ・ファラオを治療したとか、王家のものであるといった伝説のソースも見つからない


というわけで、「モロヘイヤ(ツナソ)がエジプトで古くから食用とされていたのは確かなようだが、効能についての伝説は後世に作り出されたものと考えられる」という結論となります。



【基本情報】

モロヘイヤはシマツナソ(縞綱麻)という和名で知られ、食用の場合以外ではjute(ジュート)という名称のほうが使われています。要するに黄麻の仲間で、繊維をとるための植物です。中東では食用ですがインドやバングラディシュでは、繊維としての利用のほうがメイン。ちなみにインドが原産地という説もあるようです。
そしてこの植物は実に毒を持っており、家畜が食べて食中毒を起こすケースがあります。

今回の調査では、食用植物としての名称であるモロヘイヤに加えてジュートあるいは一般的な英名のCorchorus olitoriusで探しました。


【食用利用の痕跡】

出てきたのは、後1世紀のギリシャの学者プリニウスの「博物誌」内、巻11の52章。エジプトで食用として用いられる植物の一覧がかかれてて、その中にツナソ類も入ってました。

"The other plants that are commonly eaten in Egypt are the chondrylla,9 the hypochœris,10 the caucalis,11 the anthriscum12 the scandix, the come, by some persons known as the tragopogon,13 with leaves very similar to those of saffron, the par- thenium,14 the trychnum,15 and the corchorus;16 with the aphace17 and acynopos,18 which make their appearance at the equinox. There is a plant also, called the epipetron,19 which never blossoms;20 while the aphace, on the other hand, as its flowers die, from time to time puts forth fresh ones, and remains21 in blossom throughout the winter and the spring, until the following summer. "


ここの16番に対する補足が以下になっていて、ここで言う「Corchorus」は現在エジプトで栽培されている品種と同じだ、となっています。

"16 The Corchorus olitorius of Linnæus: still cultivated in Egypt."


従って、おそらく現在食用化されて「モロヘイヤ」と呼ばれているCorchorusのことを指していると思われます。つまりプリニウスの時代には、モロヘイヤがエジプトの食用植物として認識されていたことになります。

…このくらいまでは辿らないと、ソースがあるって言えないからね?!


【薬用利用の痕跡】

古代エジプトのテキストとして医療パピルスというジャンルがあり、様々な病気・ケガなどの治療方法とそれに使われる薬草名、使用方法が書かれています。代表的なものとして「エーベルス・パピルス」など。それらの主な医療パピルスで確認してみましたが、ツナソまたはジュートに該当する植物が見つかりませんでしたた。

古代エジプト語と現代名の突合せが出来ていない植物もいくつか出てくるので、その中に紛れている可能性はありますが、現時点では「証拠がない」と言ってよさそうです。(探し漏れをしているのでなければ。)


【王家での利用はあったか】

「古代エジプトで利用されていた」とされるほかの植物の場合、以下のような根拠があります。

 ・墓の副葬品の中にある
  (ちなみにツタンカーメン墓の副葬品からはエンドウマメやアニスなど、食用/薬用多数の植物が見つかっています)

 ・墓の壁画に見られる
  (庭園の草花などはよく壁画に出てきます)

しかしこれと同じ基準で根拠を探したときには、"古代"エジプトの時代に、モロヘイヤに該当する植物が利用された記録は見つかりませんでした。よって、王家の人間が使ったとか、ファラオの薬として使われたというのは史実としては有り得そうにないです。今後見つかる可能性ももしかしたら無くはないですが…。


で、クレオパトラが愛用したとか、美容に使ったという証拠ももちろん(?)見つかりませんでした。プリニウスの時代に食用利用されていたならクレオパトラが食した可能性も無くはないですが、明確なソースがないと断言できませんので…。



ちなみに「モロヘイヤ」はアラビア語の「ムルキーヤ」から来ていますが、古代エジプトの言葉は当然、古代エジプト語なので、アラビア語ぜんぜん関係ないっす(笑)
「モロヘイヤという名前にはフラビア後で"王家のもの"という意味があり云々」といった由来が語られているサイトもありますが、アラビア語で王家という意味ならアラビアの王家でないとおかしいです。エジプトの王、ましてや古代エジプトのファラオに結びつく証拠にはならない。

あと、たぶん、「野菜の王様」という意味の「王」と「王家」が取り違えられたんじゃないかと思います…。


*****
参考: ほかの植物ネタの検証例

クレオパトラはハイビスカス・ティーを飲んだか? 〜それは商売上の売り文句だった
http://55096962.at.webry.info/201604/article_24.html

クレオパトラはアロエを美容に使ったか? 〜これも近代に創作された宣伝文句だった。
http://55096962.at.webry.info/201610/article_23.html

クレオパトラは絹の衣装を着たか。→これはソースがあるのでアリです
http://55096962.at.webry.info/201701/article_6.html

クフ王はトリュフを食べたか? 調べてみたらやっぱりアレでアレだった・・・・・
http://55096962.at.webry.info/201612/article_18.html

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