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zoom RSS ジュエリー生産に歴史あり…「宝石の考古学」を読んでみた

<<   作成日時 : 2017/08/12 00:10   >>

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以前、遺跡から出てきやすい宝石とか調べてたときの続きみたいなもん。たまたま見つけたのでちょっと読んでみた。

宝石の考古学 (大英博物館双書―古代を解き明かす)
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宝石本ではなく古代美術(装身具)の本、それも主にオリエント世界とローマに関する内容、というカンジで各宝石に冠する細かいデータはなかったが、製法の話はあった。

古代の宝石には残りやすいものと残りにくいものがあるらしい。
http://55096962.at.webry.info/201607/article_11.html

面白いのが著者がしばしば贋作について触れていることで、「かつてはこういう品にキュレーターも騙されていた」などと辛らつな言葉をはさんでいることだ。今の技術だと、アクセサリーに使われている宝石の産地を割り出したり、高精度な顕微鏡で製法を特定したりすることが出来る。古代ローマのアクセサリーのはずなのに南アメリカ産の宝石が使われていたり、金属が現代の研磨剤で磨かれていたりすることは有り得ない。しかし過去の人々が騙されてしまったせいで、来歴ある有名なコレクションの中にもそうした精巧な偽物は紛れ込んでいるのだという。

あと、古代人の好みは現代人とだいぶ違ってて、色のついた石の中でも、「透明な」石はあまり好きじゃなかった、的な話がある。エジプトの装飾品とか見るとそんなかんじで、紅玉髄(カーネリアン)やトルコ石、ラピスラズリは使ってても、サファイヤやエメラルド、ダイヤモンドなどはヘレニズムの時代(エジプト史でいうとプトレマイオス朝以降)になるまで人気がない。固すぎたので加工が難しかったこと、産地が交易圏の外にあったことが起因するのでは、という推測がこの本の中では述べられていたが、たぶん宝石に求める価値観が古代とヘレニズム以降では違うのだろう。

どんな形の着色料であれ、「色」を人工的に作り出すことは意外に難しい。"色あせない"鮮やかな赤や青や緑、となれば尚更だ。古代人が宝石に求めていたのは、そこだったのではないだろうか。宝石の嗜好が変わる時代と、ガラス製品をつくる技術の向上する時代が重なっているのは、偶然ではないと思う。ガラスによって褪せない色を自在に作り出せるようになれば、天然の石に色を求める必要はなくなる。そうなれば、当時のガラス製品では実現が難しかった透明度と強度を宝石に求めるようになるのは自然な流れだと思われる。



なんか違うなって思ったのが一箇所。
エジプトではたくさん使われていたトルコ石が、メソポタミアのシュメール初期では装飾品に使われなかったという話。あれーそうだっけ? みたいな。確かあったよねトルコ石のビーズ。前4000年頃には中央アジアからラピスラズリと一緒に入ってたはずだけど。ヘレニズム時代にもトルコ石の装飾品は無いっていうけど、見た覚えはあるぞ…。本の出たのが1998年みたいだから、20年前だと知られてなかったとかだろうか? よく分からない。

装飾品としての話が多いので宝石好きな人にはイマイチだと思われるが、古代の装飾品の製法の概要とか知りたい人にはいいかもしれない。
全体的にそう深すぎもせず、広い範囲をさらっと流しているかんじの本であった。

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