現在位置を確認します。

アクセスカウンタ

zoom RSS ティンタジェルの発掘/リアルの歴史と「アーサー王ファンタジー」のはざま

<<   作成日時 : 2017/07/24 00:10   >>

トラックバック 0 / コメント 0

ティンタジェルでの発掘が再開されてますよーという記事を見つけた。
https://archaeologynewsnetwork.blogspot.jp/2017/07/tintagel-excavations-reveal-refined.html

5-6世紀のティンタジェル城では牡蠣とか食ってた。高級ワインにローストポーク!
この時代のコーンウォールはとても栄えていたらしい。トルコやキプロスからの輸入品が出土しているところで、記事の真ん中あたりにある地図を見て欲しいのだが、東地中海まで交易路が繋がっている。カルタゴはもうとっくに滅びているが、かつてカルタゴだった交易都市のあたりからも繋がっていて、ほほう…と思った。けっこう交易範囲広いな?!

画像


ローマが去ったあとのブリテン島は、かつては「暗黒時代」と呼ばれていた。しかしそれは、単純に文献記録(というかローマの記録)が無いだけである。実際は大陸との繋がりも切れておらず、このように幅広い交易も行うことが出来ていた。考古学的には繁栄の証拠が沢山見つかっている。実体としては別に暗黒でもなんでもなかったし、ローマいなくても大丈夫だった(笑)
物的証拠で文献にない時代を描いていけるのが考古学の強みともいえる。



さて、ティンタジェル、といえば日本人でもわりと知ってる人は多いと思う。コーンウォールの地名。アーサー王伝説の舞台だ。アーサー王が誕生した地、として知られているのは何も日本でだけのことではなく、イギリスでも、またアーサー王伝説を知るほかの国でも同様の認識をされている。

が、ぶっちゃけ リアルのティンタジェルは、アーサー王とは何の関係もない。 ※ここ重要

そのため記事内で「今まで伝説ばっかり注目されていたけど、これでリアルの歴史とのバランスがとれるのでは…」などと書かれていね部分が面白かった。アーサー王伝説ネタで観光地化されるのを、地元民は必ずしも快く思っていないらしい。(とはいえ、ティンタジェルの観光ページの半分くらいはアーサー王ネタを使ってしまっているのだが。http://www.english-heritage.org.uk/visit/places/tintagel-castle/

アーサー王は、実在した人物ではない。
実在したと称する説はまぁあるにはあるが、そのどれも推測でしかなく確固たる証拠は無い。元ネタになった人物は存在した可能性があるが、元ネタが一人とは限らず、別々の時代の人物を伝説上で合成した可能性も高い。
そして、たとえ元ネタが存在したとしても、その人物はティンタジェルにゆかりの人物ではなく、訪れたことすらなかったかもしれない。

どうしてそこまで断言できるのかというと――、初期のアーサー王伝説には一切「ティンタジェル」という地名が出てこないからだ。

古い伝承に述べられているのは、最後の戦いの舞台となっているカムランのみ。アーサー王伝説のほとんどの要素は、12世紀頃になってから付け足されたものである。そして今回の発掘は、その中世のおとぎばなしに彩られる以前の"リアルな"ティンタジェルについての情報、である。


今回の発掘ではティンタジェルが最初にアーサー王伝説と結び付けられた12世紀頃の住居跡も出てきているようだ。のちにグラストンベリーが「アーサー王の墓」とされたように、この地がアーサー王伝説と結び付けられたのは時の権力者か宗教家が格を上げたくてわざと流布させた伝説という可能性もある。

実在人物としての"アーサー王"はここでは生まれなかったが、伝説上の人物としての"アーサー王"は、確かにここで生まれた。
古い伝説は変化しないが、現実は発見とともに常に変化する。現実の発見が過去の伝承の謎を解いてくれるかもしれない期待を胸に、今年の続きの発掘を楽しみに待とう。

テーマ

注目テーマ 一覧


月別リンク

ティンタジェルの発掘/リアルの歴史と「アーサー王ファンタジー」のはざま 現在位置を確認します。/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる