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zoom RSS 海との関わりから辿る人類の拡散/海の人類史

<<   作成日時 : 2017/05/18 00:10   >>

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まず最初におさらい!
ホモ族(ヒト)は更新世に誕生して色々枝分かれしながら進化して、我々の直接の祖先であるホモ・サピエンス完新世くらいにはもう世界中のあちこちにいた。なので「人類が最初に海に乗り出したのは更新世」という言い方が出来る。

★簡易年表★

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完新世 約1万2千年前〜 ★温暖化して陸地が水没するあたり
更新世 約250万年前〜 ★現生人類が誕生するのはココらへん
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鮮新世 約500万年前〜
中新世 
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漸新世
新新世
始新世
暁新世

*** ここから新生代 *****
*** ここまで中生代 ****

白亜紀とか



というわけで、「海の人類史」という本の話をしたい…。



この本は、人類と海の関わりを超初期のアフリカに暮らしていた頃からスタートして、人類最後のフロンティアであるイースター島とニュージーランドに辿り着くまでの歴史を通史として描いている。まだ地球が寒かった頃、ヒトの祖先は海の恵みを頼りに生きていた。陸地に木が生えていなくても、海には貝や魚がいたから。

そこからスタートして海伝いにアフリカを出てアジアに辿り着き、更新世の終わりごろには海を渡る技術を身につけて、現在のインドネシアやフィリピン、オーストラリアなどにも拡散していく。
やがて海洋を渡る技術は進化して、水平線の向こうに陸地が見えていない状態でも島から島へと渡れるようになる。

地球が今より寒冷だった時代の遺跡は大抵が今は海の底で、調べにくい、証拠の出てきにくいジャンルである。欠けたピースがうまることはおそらく無い、にもかかわらず、よくここまで纏めたなという感じ。まだ分からないことも多いため推測が多く含まれるが、わりと最近の調査結果も踏まえつつ書かれている。今まで「ラピタ文化」だけとかの本はあったけど、通史として全体を書いてる本はあまり見た覚えがなかったので、アジア・オセアニア全体の移住の流れを追ってくれていたのは助かった。

(ヨーロッパの学者さんがこのへんの話を書くとなんか微妙にズレた内容のが出てきたりするから、アジアメインの本は日本の学者さんにもっとツッコんで書いて欲しいところである…。)

面白かったのは人類の環境破壊が数万年前の移住の時点から始まってるという話で、人が拡散するのに伴って、つれていった家畜によって島嶼地帯の動植物の生態が変わってしまっている。イースター島にネズミが持ち込まれてヤシが激減したという話は読んだことがあったが、ブタやクスクス(フクロギツネ)を食料としてつれていったがために植生が変わってしまったというのは初めて知った。あと陸ガメの出土数が時間とともに激減していく話とか。人類昔っからわりとやらかしてた(汗)

ただ、遺跡から4万年くらい前のカツオやマグロの骨が出てるというのは驚いた。回遊魚だし外洋に出ないととれないやつだし、釣り上げんのにちゃんとした釣具いるよね? どうやってとってたんだろうか。たぶん外洋に出る船は必須だろうし、もしかしなくても、結構しっかりした道具を持っていて色んなものが作れたのでは…。大型の魚も釣って食えるっていう条件下なら、そりゃあ人類も海に拡散しますわって感じ。

そしてもう一つ気になったのが、ニュージランドへの移住時期が紀元後800-1200年、とずいぶん新しくなっていることである。確か以前は500年くらいだったと思うのだが、最近では1200年が定説となりつつあるようで、ずいぶん最近まで人が到達していなかったことになる。海流の関係とかかもしれないが、距離的にいけなくもなさそうに思えるのでなんとなく不思議な気がする。ここはまたもうちょっと調べてみようと思う。




特徴としてこの本はアジア・オセアニアの話が多い。

ヨーロッパから見れば辺境であっても、海伝いの移住という人類史の中ではハイライトとでもいうべき部分なのだ。ミクロネシアやポリネシアの島々に住み着いた人々が卓越した航海技術を持っていたことは間違いない。人類最高峰の域に達していたとも言える。
人類史全体を俯瞰し、かつアジアがメインということは当然、日本へのヒトの移住の話も出てくるが、他の「日本人の起源」系の本はわりと「日本」という地域だけに絞りがちで広域の視点が欠けていることもあるのに対し、この本だと全体とのバランスがいい。

「日本にどうやってヒトが渡ってきたのか」というのは、当然ながら日本の周囲だけで見てはダメで、ユーラシア大陸の東全体で見ないと分からない。ある時代/場所に限らず全体を通してみなければ、そもそもの基本が理解出来ない。

現在"日本"と呼ばれているこの土地に、最初に渡ってきた人々の"いくらか"は、海を渡ってきている。(※全部ではない。そして日本への移住は一回限りでも、一つだけのルートでもない)
それはスンダランドと呼ばれていた巨大な陸地や、今でいうオーストラリアや、オセアニアや、ミクロネシア・ポリネシアなどの島嶼地域へとヒトが拡散していく流れの、ごく一部でしかない。

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全体を俯瞰すると、こないだからツッコミいれまくってるアレなんかは、凄まじくおかしいことを言ってるなと思うわけです…。この本ではアレの人の論文も何箇所か引用してたけど。とにかくあのプロジェクトは汚点でしかない。既にマグロ釣りに外洋に出られる技術があるのに、草舟しか作れないわけないだろ…。とか。



というわけで、海とヒトの繋がりを読んでみたい人にはオススメの本。
定説というものがない箇所も多く含まれ、おそらく今後も随時書き換わっていく内容だとは思うが、巻末の参考文献などから辿れば現在の主要な説はひととおりなぞれるのではないかと思っている。

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