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zoom RSS 今年も紛れ込んできた。第24回西アジア発掘報告会(その3)

<<   作成日時 : 2017/03/31 00:10   >>

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まとめラストは初日の前半部分。さすがに二日フルでは聞けなかったので…
[>プログラム一覧とかはこちら
http://aom-tokyo.com/event/170325.html

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●肥沃な三日月地帯の新石器化

この発表と次の発表は近い地域でやってるみたいなんだけど、こっちが「スレマニ県」、あとの発表では「スレーマニー県」と書いてあってちょっと混乱する。カタカナ振りの違い。イラクのクルド人が住んでる地域(クルディスタン)での発掘となり、ISの活動など治安の悪化に気を配りながらの発掘だったようだ。ただ、日本人が発掘に行けていることからも判るように比較的というか、それなりに治安は良いほうであるらしい。なにしろUAVを飛ばしての調査が許可されている。テロの危険性の高い地域だとUAVもドローンも飛ばさせてくれない。

発掘隊賞はチャルモという聞きなれない遺跡だが、これはジャルモと同じ場所らしい。
もともとクルド人の言葉で「白」を意味する言葉から命名された地域なのだが、アラビア語ではジャルモと訛ってしまい、そちらの名前が有名になったのだとか。元々の名前はチャルモ。

テーマは先史時代、西アジアでの農耕の開始時期について。肥沃な三日月地帯と呼ばれる地域の東のはしっこにあたる地域での初期の農耕の痕跡を調べようとしている研究のようだ。既に先行研究はあるが、再考のための調査として行われているようで、今のところ発掘報告の内容は既に報告されている内容のおさらいっぽかった。が、別の研究者がコーカサスで行っている農耕の起源についての調査とあわせて見ると面白い。



●アッシリア帝国東部辺境を掘る

タイトルでだいたい何やってるか分かる。新アッシリアの時代の、帝国領土の最東部に位置するヤシン・テペ遺跡の発掘。これもクルディスタン。ISによってアッシリアの多くの有名な遺跡が破壊されるか盗掘被害を受けるかしてしまったが、この遺跡は今のところ一応は大丈夫っぽい。

円形に土塁をもつ遺跡なのだが、スレーマニー県最大と言われるだけに結構広くて、55ha。掘るのも測量するのも大変そう。場所的に「メソポタミア」と「イラン高原」と「東地中海沿岸」、もうちょっと足を延ばせばアナトリアからもアクセスできる中間的な文化圏であるところが面白く、どのように文化が融合したのかをテーマにしている。なかなかいいテーマの選び方だと思う。カーネリアンが出てきているってことはインド方面とも繋がってた場所なんだろうな。


なおヤシン・テペ遺跡を含む報告には、ちょっと前のだけどこんなのもあったりする。(PDF)
http://rcwasia.hass.tsukuba.ac.jp/kaken/NL/newsletter03/NL03.pdf

筑波大のやってる主要なプロジェクトは、西アジア文明研究センターのページから辿れる。(エジプトはここには無い)
http://rcwasia.hass.tsukuba.ac.jp/

画像



●ホモ・サピエンスの拡散・定着期における文化動態

アフリカから拡散する人類の通り道、としての西アジアをテーマとした研究。
二日目のオマーンの発掘とも関連するあたり。

アフリカからの拡散経路についてはいくつかルートが検討されているが、どれを選んでも初期に西アジアを通るはずなので、そこらへんの石器や人骨の出土で時代が絞れる。それと初期の人類が何してたのかとか。また、先にアフリカを出てたネアンデルタールなどの旧人たちが、どのように新人と交代していくのかというのも一つの重要テーマになっている。なにしろ最近では、両者が混血していたかもしれないなどという説も出てきている。旧来のように、単純に新人が旧人と入れ替わったというわけではなさそうなのだ。

掘ってるのは南ヨルダンのカルハ山というところ。まあこれ、ぶっちゃけ周辺が政情不安の地域多すぎて、あんまり危険なとこは掘れないんで消去法のような気がしなくもないけれど…。石器の勉強してないので用語がめっちゃくそ判らんかったんだけど石器の作り方に名前がついているらしい。

 ・ムシャビアン(1.5-2万年前)
 ・カルハン(1.5-2万年前)
 ・アハマリアン(4万年前)
 ・ムステリアン(5-6万年前)

だいたいこんな感じ…? ムステリアンあたりになると自然石との区別がすっげ難しい。アハマリアンは明らかに人為的な割れ方をしてるので判る。で、高度な石器は新人じゃないと使えないので、それが出てくると、人骨がなくてもそこに住んでたのが新人だとわかる。石器の割り方の進化は最初はゆっくりで、途中から加速度的に高度になっていっている。石器も…そのうち…ちょっと調べてみようかなと…(いい本があんまりないのがなー

**** ここまで。 *****

このあとはイスラエルとか中央アジアのキルギスとかの発表が続いていた、はず。
一日目の遺跡は有名どころが多いなーという気がした。そのジャンルをあまり知らなくてもなんとなく聞いたことのある地名が並んでいた。既に一度は発掘されている場所のはずだが、調べ方を変えれば見えるものもある。ということなのだろう。

こまいところは、各遺跡の名前とか発掘調査やってる大学のプレスリリースとかから辿れば必ず出ているはず(助成金を貰ってるところは出してるはず)なので、適当にぐぐってくらはい。

自分の興味の範囲は、最初から決めてしまわないほういがいいです。地球上には越えられない壁はない。高い山でも海でも、ご先祖様は何とかして越えてきた。だから世界中にヒトはいる。むかしの人が越えられた壁ならば、その先にも文化は繋がるのですよ。隣近所の文化圏はだいたい繋がってて、関連する分野も知ってたほうが楽しめるので「自分はこのジャンルしか知らなくていい」って考え方は損だと思う。とりあえず全部食ってみるといいよ。食える限りね。

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