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zoom RSS 古いエジプト本には出てくるけど最近は訂正されている知識の代表例

<<   作成日時 : 2017/03/23 00:10   >>

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言うまでもないとは思うが、科学でも歴史でも、研究が進むにつれて「常識」は変更されていくものである。
たとえば「恐竜は実は絶滅していなかった」とか、「元寇は実際は神風で敗退したわけじゃない」とか、「聖徳太子の実績は後世に作られた伝説」とか。

その時代に主流なモノの見方や、主要な学者によっても主流の見方は異なっていくのだが、そうした「好み」の問題は除いて、純粋に学問成果によって変更になったと思われる幾つかの点を挙げておきたい。

 要するに、これらの内容が無批判に載ってる本が新しく出るとしたら、
 その本の著者は最近の情報に追いつけてない可能性がある、ってことです。


■古代エジプトは「都市無き文明」

■古代エジプトは女系で王位を継承する

■古代エジプトは地理的に孤立していた

■古代エジプト語はハム語族である


それぞれについて、簡単に説明していく。


 ■古代エジプトは「都市無き文明」

これは古代エジプトの都市が、かつての「都市」の定義に当て嵌まらなかったために言われるようになったもの。おそらく、中世ヨーロッパあたりの都市のイメージで考えてしまっていたのが原因だ。城壁が無い、防衛機能を持たない、という点がヨーロッパ人にとっては引っ掛かったようである。
だが、文明圏によって「都市」のあり方は大きく違っている。「そもそも都市ってなんだよ」という議論が交わされ、「都市」の基準が見直された結果、古代エジプトにも都市はある、となったのが最近の主流の見方であろうと思う。

古代エジプトの都市では、最古の都市例としては、たとえばヒエラコンポリスなど。初代の首都であるメンフィスも間違いなく都市だし、ヘリオポリスやエドフも都市と呼んでいいはずだ。それが都市でなかったら、古代世界に都市の条件を満たす場所はほとんどなくなってしまう。


 ■古代エジプトは女系で王位を継承する

かつて言われていた、「王位の継承権を持つのは嫡出の王女である」という説は、現在では完全に否定されている。この説を証明する具体的な証拠が出てこなかったのが理由である。

女系で王位が継承されるという説は、近親婚があまりに多いことから、その理由づけとして考え出された。古代エジプトは、古代世界の中では比較的、女性の権威が認められており、たとえば新王国時代の裁判記録では女性が訴訟を起こした例や、女性の遺産相続に関する文書もある。しかし、それは女性が家長であったことは意味しない。

王位継承は、ほぼ例外なく男子によって行われていた。そして「皇太子」を意味する言葉はあっても、王女たちの中に「皇太女」を意味する肩書きは存在しなかった。父王の後継者と呼ばれるのは常に男子で、神話においても、宗教儀式においても、それは変わらなかったのだ。


 ■古代エジプトは地理的に孤立していた

これは、都市の定義と関連して、エジプトの都市には城壁が無かったことや、隣のメソポタミアのように都市国家に分裂することが少なく、ほぼ三千年間統一国家を保てていたことから言われるようになった説である。「周囲が砂漠や人の住まない土地なので外敵に攻められにくく、城壁を必要としなかった、または政治的に安定していた。」という地理的な要因からエジプト王朝のあり方を説明しようとしたものだ。

しかし実際は、エジプトは地理的に孤立していたわけではなかった。
西側は確かに砂漠なので、あまり敵を想定する必要はないかもしれない。しかしそれ以外の方向には自然の防壁はない。たとえばエジプトの北は地中海だが、その海は交通量の多い海である。東からはつねに異国の侵入者に悩まされていたし、南はナイル川沿いにアフリカ内陸部へと繋がっている。

そしてそもそも、南からの金、東からの木材、北からの銅、沿岸沿いに航海していた交易船などの物流の証拠が、地理的な孤立説を否定している。


 ■古代エジプト語はハム語族である

「セム語族」「ハム語族」という分類が、今ではあまり使われなくなっている。
そもそもこの名前は、旧約聖書のノアの息子たちの名前から来ている。”ノアの洪水で人類は滅亡しているはずなので、その息子たちの使っていた言語しか地上には生き残っていないはずだ”というところから始まっている。

そこで、ノアの洪水の舞台となったアララト山を中心として、そのへんの地域に長男セムが住んだという設定で「セム語族」を設定、エジプトあたりは言語の系統が違うので「ハム語族」としたのがセム=ハム語族の中身。そりゃ分類として正しいはずがないでしょう? という話である。

画像
参考: セム語族/ここに入らない古代エジプト語はハム語族とされていた


現在では、セム・ハム語という言葉は使わずに、アフロ=アジア語族という分類名を用いる。なお、「ハム語族は死語である」という言い方をされることもあるが、そもそもセム語族とハム語族に分けたのが妥当かどうかというところから始まるので、「古代エジプト語は死語になっている」は正しいが、ハム語族が絶滅したという言い方はあまり正確ではないと思う。かつてセム語族に入れられていたアラム語やヒッタイト語も死語になっているので…。




以上、時代のトレンドや学者の嗜好には左右されないと思われる変更点をいくつか挙げてみた。

このほかにも、「古代エジプトの最初の王朝は外来人が作った」という外来人起源説や、「現在のエジプト人と古代エジプト人の間には血縁関係がない」という民族入れ替え説など様々なトレンドが時代とともに現われては消えていった。それらは古い本の中に名残として留まっているのみで、もはや新しく書かれることはほぼ無いと言っていい。

知識も常識も、時代とともに変わる。古本屋でむかしの本を掘り出してきて読むことは問題ない。けっこう面白いものもいっぱいある。が、古い本の情報が古いままに留まっている可能性があることには注意していただければ…と思う。



#逆に、最近出た本に最新のトンデモ説が載ってることもある
#別々の著者のを五冊くらい読めば、何がおかしいか多分分かる

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