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zoom RSS 日本の学者の出す「初心者向け本」の何割かは、明らかなターゲットミスである件について

<<   作成日時 : 2017/02/10 00:10   >>

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 たぶん「でも売れている」と、「そういうのを求めてる人はいる」っていう反論は来るだろうなと思うのだが、書き手の先生方は「売れればすぐ捨てられてもいい」消耗品として自分の本を出しているとは思えないし、「どういう読者のために書いているか」はたいてい本の中に自ら書いていて、そのターゲットに対して内容がそぐわないと思っているのが今回の内容なので、そのまま続けさせていただこうと思う。


 前にも似たようなことを書いたのだが、日本語で出てくる人文系のテーマの本は、初心者向けといいながら想定している読者レベルがあまりにも中途半端で、おそらく本当の初心者は手を出さない。書き手あるいは企画者は、ターゲットを見誤っている。「売れるわけが無い」し、売れたとしても、それは本そのものの魅力ではなく何らかの付加価値によるものである。また、本来のターゲットにも届かない。

 そんなので「若者の活字離れ」だの「最近の日本人は文化に興味ない」とか愚痴られてもなァ、と思う。

 具体的にどこが悪いのかというと、まず内容がチャチすぎるという点だ。


 初心者向けに簡単すぎる本が連発される背景には、多分なのだが、書き手の根本的な誤解があると思う。
 「ズブの素人に理解させるには簡単に書くしかない」という意識である。

 しかし、事実は異なっている。
 まず自分の全然知らないジャンルの本を手にとること自体が素晴らしくハードルが高い。人文学系の初心者本を出す際に、対象となる「初心者」とは、"本が好きでよく読むが、そのジャンルはうっすら知っているだけでまとまった知識はない"といった人になる。(そもそも本を読まない系の人は近づくことすらない。)

 そうした人が欲しいのは、専門家が発信する、確実でまとまった知識であり、本でしか得られない知識である。そのへんのテレビ番組や雑誌で適当にザッピングして手に入るレベルの本は必要とされていない。 ※ここ重要※


 初心者向けの本を書いている人たちは、初心者を無意識に見くびっていると思われる。

 知識なんてものは幾らでも付け足せる。初心者は延びしろが大きいから、あっというまに知識レベルは上がる。幼稚園児向けの本は、小学生になっても読めなければ意味がない。幼稚園児にしか意味がない本ならば、それは消耗品である。すぐに役に立たなくなって捨てられる運命にある。著者はそういう本を書きたかったのか。そうではないはずだ。たったら最初から、小学校高学年でも読み返せる内容で書いておけということである。ここで私が文句を言っている「初心者向け」の本の大半は、要するに、知識レベルが幼稚園児だからこんなもんでいいだろ? という想定で書かれたことがバレバレな、子供だましの本になってしまっているのである。

 それは面白いと感じられないし、まず手にとってもぱらっとめくっただけで読まないか、読んでも記憶には残らない。わざわざ手にとるのは、何となく勉強した気分になりたい人か、買うこと自体に満足したい人くらいではないだろうか。
 人の感じ方には色々あるから、あからさまにレベルを落とした本でも面白い、勉強になった、と感じる人も居るだろうが、その本を入り口にしてより深い世界に入って来る可能性はかなり低い。入り口から先へ自分の足で歩いて進もうとしている人は、内容の薄い本に惹かれることはないからである。



 自分が中学生の頃、今よりずっと知識もなく、まだエジプト関連の本を読み始めたばかりだった時代、最初に「これはすごい」と思ったのはチェルニーのエジプト神話本である。薄いくせに読み応えはたっぷりあって、何度も読み返すことが出来たし、今読み返しても新しいことに気がつく。その本は初心者向けにレベルを落とすようなことは一切せず、びっしりと字を詰め込んでいた。それでも面白いと思った。
 面白いと感じるのに、内容が完全に理解出来る必要はない。分からないなりになんとなく流し読みしても、面白いものは「面白い」。

 書かれていることのすべてを理解できる必要など全くないのである。本とは、そういうものだ。分からないところは調べてみる、あるいは考えてみる。時間を置いて繰り返し読んでみて、そのたびに理解を深める。それが「本」である。

 そして、「入り口から先へ、自分の足で歩いて進む力」がまさにそこの部分に当たる。"今は"理解出来ないものを、能動的に"理解できるよにうに"なろうとするかどうか。
 書かれた内容しか知ろうとしない人は、最初から入り口から先の世界へ進むことはない。そうした人向けの本であれば子供だましの薄い内容で構わないでろう。勉強したつもりになりたいだけなので幾らでも賞賛してくれる。しかし、本当に好きな人、興味を持っている人は離れて行く。何かの興味の入り口として機能する、良い「初心者向け」の本は、全力で読者と向き合い、手抜きすることなく濃く書かれている。

 私としては、本を愛する人に本を書いて欲しいし、一生に一冊の本を出してほしいのだ。
 

******


 というわけで、いい加減、紋切り型のつまらない内容で埋められた、"初心者向け"を装った手抜き本を量産するのは止めにしませんかね…。(´・ω・`) それでは良質なファンも未来の学者も生まれないと思いますよ…。

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