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zoom RSS 古代エジプト人、ランプ普通に使ってますよ。/オーパーツな電球と、それに対するトンチンカンな反論の前に

<<   作成日時 : 2017/01/29 00:10   >>

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何でだかよくわかんないけど、古代エジプト人がふつーにランプ使ってたことはあまり知られていない。

もしかしたら、ピラミッドや墓の内部に煤がついていないから作業する時にランプは使って無かったはず、みたいな話と、デンデラ神殿の地下室にある、電球だオーパーツだ言われてる絵の話とがごっちゃになっているのかもしれない。
しかし、煤が出にくい油を使えばいいだけだし、そもそも墓だろうがピラミッド内部だろうが、大きな焚き火でもしなければ煤など壁につかない。
そして現存するデンデラ神殿はプトレマイオス朝末期〜ローマ支配時代に作られたものなので、「古代エジプト」の産物ではない…。


と、まあそういう話は先においとくとして、普通にありますよランプ。
こんなやつね。

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これは王家の谷の王墓、KV20から見つかってる「墓作り職人が使ってたであろう」オイルランプ。
真ん中に油いれて、とがってるとこに芯を引っ掛けて火を灯すっていう、昔の日本でもよくあるタイプのランプ。江戸時代あたりの絵だとお皿みたいになってるの見かけたことがあるはず…。

実物の写真だとこんなん。これはディル・エル・バハリの職人村から見つかったやつ。

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ちなみにKV20はハトシェプスト女王とトトメス1世のお墓でこんなん。盗掘を恐れたのか、マジキチ気味な構造をしている。この構造体を作るには、ランプは当然必要となってくる。たまにバラエティ番組などで、「墓づくり職人は鏡で太陽光を反射させて明かりとしていた」などという話が出てくるが、それは入り口付近だけだ。光ょ無限に反射させることは出来ず、鏡を持たせるのに人手もかかる。当然ながらランプを使ったほうがはるかに効率がよい。ランプを使わずに太陽光を使うのは、ランプの油を効率的にケチれる真昼の、墓の入り口付近の作業の時に限定されたはずだ。

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ここで考えて欲しい概念は、「どうすれば一番楽に作業できるか」である。

人間、楽に仕事が出来るのが一番いい。ランプは、ふつーの陶器の皿と、葦か藁かで作った灯心と、火と、家畜かヤシの油があれば使える。どこにでもある材料だし、壊れてもすぐに替えが効く。非常に効率的かつ楽なのである。使わなかったわけがない(笑)

そのメリットは、もし何か間違ってランプから出た煤で多少壁画が汚れたとしても、失われないくらいに大きい。乾いた漆喰なら水拭きすれば汚れはとれるし、塗りなおせばいいだけである。


****

というわけで、最初に戻って「デンデラの地下室に書かれている電球っぽいやつ」の話をしたい。

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言いたいことは、すでに本体サイトのほうの「オーパーツ(?)コレクション」で書いてしまっているのだが、ぶっちゃけこれ、現地で見ると全然電球に見えない。周りにヒエログリフで説明文書いてあるし、電球の中身はヘビだし…。
神殿自体も新しい時代のものなんで、クレオパトラとか描いてあるし…。

が、電球に見える見えないは所詮「見える」か「見えない」かの話であって、頭からガチ信じている人には十分な証明とは映らない。ならば、敢えて逆の発想をしたい。

 この時代に電球の存在を可能ならしめるには何が必要であるか。

我々の身の回りには当たり前にあるものでも、イチから作ろうとすると意外と大変なのだ。
ありふれたものでさえ、高度な工業技術の上に存在していることも少なくない。

必要なものを、立証困難な「電気に関する知識」を除いてリストアップしてみた。


・透明で薄いガラスを作る技術

ちなみに吹きガラスの製法が確立されるのはローマ時代。テルマエ・ロマエじゃないけど、透明で均一なガラス瓶を作れるってだけでも古代ローマ人にはビビられるくらいのレベルである。ガラス自体が貴重品なので、仮に技術があったとしても、古代の電球は消耗品として使うことは出来なかっただろう。


・ソケットを作る技術

そもそも電球を取り付ける場所もないのにどうしてソケットが必要なんだ、とまずツッコみたいですが、この壁画が電球に見えると主張する人は必ずソケットにも言及するので、何らかの理由でソケットが必要である=取り付ける器具が想定されているのだと仮定する。
ソケットのねじねじの部分は、取り付け器具にあわせた大きさで、かつピッチも一定でなければならない。そうしないと割れてしまうか、取り付けが出来ないからだ。果たして二千年前の人々に金属ネジは作れるのか。

ちなみにネジが一般的に使われはじめるのはルネッサンス以降のようで、それ以前だと「穴にネジ込む」というタイプのネジのようである。


・フィラメントを作る技術


竹はアジアにしかないので、別の適当な材料をみつくろわなくてはならない。羊毛あたりでもいけるだろうか。耐久性が低いので発光時間が短そうだが…なんとか… フィラメントは出来るかもしれないが、取り付けが難しい。ハンダも無いからだ。

そしてそもそも、ここで気づく。…これ、フィラメント入れたあと容器を密閉するのと、フィラメントを長く発光させ続けるのがだいぶ無理ゲーじゃね…? 一瞬光らせるくらいは何とかなりそうだけども。

百歩譲って二千年前のプトレマイオス朝時代のエジプト人が電球の原理を知っていて、フィラメントまで作れたと仮定しても、それを現代の電球と同じ形態に仕上げる必要がどこにもない。そもそもガラスだって貴重品なのだ。光ればいいだけなら、なんでわざわざガラスに入れたりソケットに悩んだりしなきゃならんのだ。


・発電機

揚水発電は電気の概念を知っていれば出来たかもしれないが、電気を貯めることは出来ないので、電球を使いたければ発電しつづけなくてはならない。かつ有線接続である。というわけで…


・電線(銅線)

これを作る技術と資源が必要となる。で、揚水発電を川岸でやるとしたら、川の近くで電球を使うぶんにはいいだろうが、内陸で使う場合はそこまで電線を延ばさなければならない。ちなみにエジプトのナイル川は毎年季節に応じて増水するものなので、ピラミッドも王墓も川からかなり離れた内陸に作られている。電線をながーーーーく延ばさないとどうしようもない。

え? ドレイに自転車で漕がせればいける?

その場合はまず自転車の発明から(ry



…以上、お分かりいただけたであろうか。
古代に電球を存在たらしめるためには、それ以前に超えなくてはならない技術と資源の「壁」が幾つもそそりたっているということが。

たとえ電球の原理を知っていたとしても、現代人がタイムスリップしたとしても、古代で電球を輝かせることは非常に困難である。「要は照らせりゃええやん」という方向に流れるのが人間というものであり、ふつーは電球を作るより遥かにお手軽な油ランプを手にするだろう。


「人間は目的を達するに最も簡単な方法を選択する」。

ゆえに、技術的には古代でも問題ないが手間がかかりすぎる「鏡で光を反射して作業」という方法も、電球を使って作業した説と同じくらい、現実的ではない。どっちもトンチンカンだから逆に議論が成立してしまう。

普通はランプ使いますよ。無いと一般庶民暮らせませんやんね(笑

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