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zoom RSS 山に登る前に一度は勉強しよう! 登山に適用される法律。「他パーティーの滑落は見捨ててOK」

<<   作成日時 : 2017/01/18 00:10   >>

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近年、登山救助に関わる裁判がいくつか話題に上がっており、救助に失敗した場合に救助隊が罪に問われるという不幸な事件が話題を呼んだりしている。自分は幸いにしていまだ登山者の救助が必要な事態に遭遇したことはない。が、目の前で事故に逢う登山者を見たことはあるし、ヘリで釣り上げられてる人を見上げてたことはある。

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「いつか、もしも」のために、登山にまつわる法律の基本をちょっと勉強しとくのもアリかなー…
ということで、こんな本を読んでみた。

登山の法律学
東京新聞出版局
溝手 康史

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著者は登山が趣味の法律家、しかもガチ登山をやってる人が書いてるので、例題がいちいち「わかる、こうしうシチュエーションある」ってやつばっかりでほんと身に染みる。

ざっくり三行で重要なところを書いておく。

 ●登山は基本、何が起きるか分からないものなので自己責任の範囲が町より広いです

 ●自パーティーじゃない登山者の遭難は見捨ててOK

 ●むしろヘタに手を出して救助失敗すると罪に問われることがあるので素人は手を出すな



「困っている人を見かけたら助けてあげなさい」というのが、人の世界である町の常識である。
しかし山は人の領域ではない。危険が一杯で、自然が相手なので何がおきるか分からない。登山者はそれを承知したうえで「自己責任で」入山している。従って、自己責任で滑落しても、本人はそれを承知した上でそこにきているのであり、他者(少なくとも個人の登山者)に救助の義務はない。むしろ、シロウトが手を出して救助に失敗すると責任が生じてしまうので、「救助するな」というのが原則となっている。

これは、二重遭難したらどうなるかとか、滑落した人を持ち上げようとして誤って落としてしまいさらに怪我をさせたらどうなるかとかを考えれば、何故なのか分かると思う…。



この本は山岳救助隊のような仕事で救助をしている人たちのことは書いていないので、あくまで「個人の登山者」や「登山ツアー開催者」や「引率者」の話である。しかし、「登山は自己責任」の原則を知らずに何となく山行ってる人にとっては、シビアな現実を突きつける内容かもしれない。

たとえば判例として面白いのが以下のようなケースだ。


<1>単独行どうしの登山者AとBが道の途中でたまたま知り合った。Aが滑落するのをBが目撃したが、怖くなって通報もせずに帰宅してしまった。Aは後日、遺体で発見

 →Bに通報義務はないので無罪

<2>4人パーティーの一人が途中で合流しなかったが、後から来ると思ってそのまま下山。のちにその一人は滑落し死亡していたことが判明した

 →パーティーを組んでいた場合は互いに援助協力の義務があるため、自力救助は出来なくても通報は必要


最近はこういう当たり前もあんまり知られてない気がするんだ…。
一人で山に行く=誰にも救助してもらえなくても文句は言わない。そのかわり他人に足を引っ張られることはない。
皆で山に行く=何かあっても他人に庇ってもらえる。そのかわりメンバーの体調不良や体力不足をフォローする必要がある
パーティーで来てんのに遅い子を置き去りにして残りメンバーだけ先にいっちゃってる人たちとかたまに見かけるけど、それ置き去りにされた子に何かあったら賠償問題になるんだよ、怖いんだよ、っていつも心の中で思ってる。


それから、登山ツアーで事故にあった場合、ガイドがあらかじめ予見できなかったとか、助言によって避けることが出来なかった事故は、ツアー会社の責任にならないということも覚えておいたほうがいい。「山は自己責任の範囲が広い」という原則。登山客は、そもそもツアーに参加する時点で、山は危険なものであるということを了承していると見なされる。ツアー参加者でも保険は入っておいたほうが良い…。


といった感じで、実際に起きうる例とその場合の責任の所在などが細かく説明されているので、登山する人も、ちょっとそのへんトレッキングに行こうとしている人も、一度は読んでみると面白いと思うよ。山は自力救済が基本! 自然を相手にすることの難しさを心しよう。



個人的に、一番驚いたのは「山で落石を引き起こして人にあてて怪我をさせても責任は生じない」という部分かな…。

故意に石を落として怪我をさせればもちろん責任が生じるが、歩いててうっかり石を蹴飛ばして下を歩いてる人に当ててしまった場合は責任が生じないのだという。山道は基本的に何が起きるか分からない場所で、落石が発生することもある、と了解した上で入山しているのだから「自己責任」というのだ。

実際のところ、スキルの足りない登山者や、やたらとストックを振り回して石を跳ね上げている人はよく見かける。いつも危ないなぁと思ってていたのだが、そういう人たちがウッカリ石を落として当たっても、落とした人に賠償請求できないのだ。…今後は、未熟な登山者のすぐ下につくときは今まで以上に注意しようと思う・・・。あとストック振り回してる人には積極的に注意していこう。うん、でないと自分の身が危険。


似たような本にこういうのもあって、内容はだいたい一緒だった。
ただしこちらは読み物としての面白さはなく、文章が硬い。法律の専門家ならこっちがわかりやすいのかも。

山岳事故の法的責任 登山の指針と紛争予防のために
ブイツーソリューション
2015-02-28
溝手 康史

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山は「自己責任」。
町と同じ感覚では絶対に行っちゃダメなところ。
最低限の知識は持って、無理をせず、楽しく安全に登りましょう。

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